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【漢方:124番】川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)の効果や副作用の解りやすい説明

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川芎茶調散

川芎茶調散

ポイント

この記事では、川芎茶調散についての次の事が解ります。

・患者さんへの説明方法、副作用や注意点

・出典(条文)、生薬構成

・詳しい解説、他処方との鑑別

「名古屋漢方」のムセキです。

本記事は、川芎茶調散についての解説記事になります。

最初に患者さんへの説明例、その後に詳しい処方解説を載せています。日々の業務で使う資料として、ご活用頂ければ幸いです。

ムセキ
よろしくお願いしますm(_ _)m

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<急ぎの方用>患者さんお客さんへの説明

ムセキ
私が普段行う説明を書いています。

一般的な説明

今日は、川芎茶調散という漢方薬が出ています。このお薬は、頭痛やふらつき等の場合によく使われるお薬です。

今日はどのような症状で受診されましたか?

○○という症状ですね。

お困りの症状に、先生はこれが良いと考えられたようです。このお薬は、上半身の異常を取って気分をサッパリさせてくれますので、一度、試してみてください。

身体が冷えたり、食欲が無くなりますと効き難くなりますので、体調には充分にお気をつけ下さい。

漢方医処方の場合の説明

今日は、川芎茶調散という漢方薬が出ています。このお薬は、頭痛やふらつき等の場合によく使われるお薬です。他にも湿疹や夏風邪等にも用いられる事があります。

今日はどのような症状で受診されましたか?

○○という症状ですね。

お困りの症状に、先生はこれが良いと考えられたようです。このお薬は、上半身の異常を取って気分をサッパリさせてくれますので、一度、試してみてください。

身体が冷えたり、食欲が無くなりますと効き難くなりますので、体調には充分にお気をつけ下さい。

主な注意点、副作用等

アナフィラキシー

偽アルドステロン症

消化器(食欲不振、胃部不快感、悪心、下痢等)

冷え

添付文書(ツムラ124番)

ツムラ川芎茶調散(外部リンク)

ムセキ
ここから下はゆっくりと読んで頂ければと思いますm(_ _)m

川芎茶調散についての漢方医学的説明

ムセキ
専門家向けの内容です。

生薬構成

香附子4、川芎3、羌活2、荊芥2、薄荷2、白芷2、防風2、甘草1.5、茶葉1.5

出典

和剤局方

条文(書き下し)

「丈夫(じょうふ:成人男性)、婦人諸風上り攻め、頭目昏重、偏正頭疼(へんせいずとう:片頭痛や通常の頭痛)、鼻塞がり、声重く、傷風壮熱(しょうふうそうねつ:風邪に侵され熱が出て)、肢体煩疼(身体が熱く痛みが出て)、肌肉蠕動(きにくぜんどう:肉が勝手に動く)、膈熱痰盛(かくねつたんせい:胸膈に熱痰が溜まり)、婦人血熱攻注、太陽の穴痛むを治す。但是(しかし)、風気に感ぜば悉く(ことごとく:尽く)皆之を治す。常に服すれば頭目を清す。」

条文(現代語訳)

「男女の諸々の風邪が上半身を侵し、頭がふらついたり、諸々の頭痛があったり、鼻が塞がったり、声を出しにくく、風邪にやられて熱が出、身体が熱を持った痛みが出、肉が勝手に動いて、胸に熱痰が溜まり、婦人の血熱が悪さをし、太陽膀胱経の経穴が痛むものを治す。但しこれは、風邪の気にあたって起こる病であるなら、全て治す事が出来る。常に服すれば頭をはっきりさせる。」

解説

今回は、川芎茶調散の処方解説になります。この処方は、一般的に頭痛や眩暈、夏風邪に使われています。

それでは、まずは条文を見ていきます。条文は、要約しますと「男女関係なく、風の邪気による頭痛をはじめとする上半身の炎症や痛みに使用する処方。」という事です。

現代での使い方もほぼ同じで、条文に書かれている通りの使用法を現代でもされている数少ない薬になります。

次に、構成生薬を見ていきます。構成生薬は、それぞれ

理気:香附子

祛風湿熱:羌活、荊芥、白芷、防風、茶葉、薄荷

血を走らせる:川芎

緩和・諸薬の調和:甘草

の様になります。ご覧の通り、とにかく上焦の気の停滞や邪気を祓う処方となっています。「香蘇散や芎帰調血飲の祛風理気の効果のみを高めたもの」との見方も出来ます。

この処方のポイントは、「上焦の風湿熱をさばく処方」という所で、頭痛やふらつき等の風の邪気で起こる症状を改善させます(かなりキツい風邪もさばけます)。

茶葉や薄荷の様な作用の鋭い生薬も含まれており、その効果は祛風利湿だけではなく清熱効果がかなりの割合で含まれます。

また、祛風湿熱した所に補血を行って、気血のバランスを取っています。

本処方は風湿熱の邪気には何でも使用出来、例えば温病の風邪(カゼ)や皮膚の痒み等にも応用出来ます。しかし、祛風の効が強いという事は、逆に言いますと正気を傷つける事も念頭に置かないといけないという事になります。

本処方を使用する場合、その辺りは十分に見極めて使って行かないといけません。

以上まとめますと、川芎茶調散は「上焦の風湿熱をさばく処方で、かなりキツイ邪気でも処理が可能。頭痛やふらつき等に使用され、応用的には夏風邪等の温病や皮膚のかゆみにも使用出来る処方。」と言えます。

最後に上にも少し記載しました通り、本処方は、裏寒脾虚の場合、また、肺気不足(声が小さい、覇気がない等)の場合には使用不適ですので、注意が必要です。

鑑別

川芎茶調散と他処方との鑑別ですが、代表的なものに香蘇散、芎帰調血飲、参蘇飲、清暑益気湯があります。それぞれについて解説していきます。

香蘇散

川芎茶調散と香蘇散は、同じ上焦の気を除いて気分を改善させる処方であり、鑑別対象となります。

両者の違いは、祛風の効があるかどうかとその効果の強さになります。香蘇散は基本的に気鬱の薬であり、風湿の邪は存在しません。只、上焦の気の流れが落ちているだけになります。

対して川芎茶調散は、風湿の邪が存在し、その祛風の効能も強力なものになります。

香蘇散は気分の改善がメインで、川芎茶調散は頭痛等のもっとキツイ症状が出ている場合と考えるとそこが使い分けのポイントとなります。

イメージで考えるなら、香蘇散がフワッと柔らかく効くのに対して、川芎茶調散はスパッと鋭く効くという違いになります。

参考記事
香蘇散
【漢方:70番】香蘇散(こうそさん)の効果や副作用の解りやすい説明

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芎帰調血飲

川芎茶調散と芎帰調血飲は、同じ上焦の気を除いて気分を改善させる処方であり、鑑別対象となります。

芎帰調血飲は、産後の気血の不良を改善する処方として有名です。その症状の一つに眩暈やふらつきといった症状があり、そこに香附子等の理気薬が使われています。

両処方の差は、川芎茶調散には瘀血所見が全く無い事、逆に芎帰調血飲には瘀血所見がはっきりとある事です。

ですので、唇が紫色、舌下静脈が膨らんでいる等の瘀血所見の有無で鑑別が可能となります。

参蘇飲

川芎茶調散と参蘇飲は、両処方共に風湿熱の邪を除く処方であり、鑑別対象となります。

参蘇飲の特徴として、胃部不快感や食欲減退等があります。脾胃の症状が出てくるというのが特徴です。

川芎茶調散には、脾胃に関する生薬は全く入りませんので、脾胃は特に問題ないと考えます。その点がポイントとなります。

参考記事
参蘇飲
【漢方:66番】参蘇飲(じんそいん)の効果や副作用の解りやすい説明

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清暑益気湯

川芎茶調散と清暑益気湯は、同じ温病に対する処方であり、鑑別対象となります。

清暑益気湯は、補中益気湯と構成が似ており、上焦の気虚がポイントとなります。川芎茶調散の場合、逆に気虚があるとその作用が害を為しますので不適となります。

清暑益気湯との鑑別も、参蘇飲と同じ様に脾胃の虚や気虚を目標にする事になります。

お読み頂きありがとうございます。

ムセキ
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