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【漢方:136番】清暑益気湯(せいしょえっきとう)の効果や副作用の解りやすい説明

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清暑益気湯

清暑益気湯

ポイント

この記事では、清暑益気湯についての次の事が解ります。

・患者さんへの説明方法、副作用や注意点

・出典(条文)、生薬構成

・詳しい解説、他処方との鑑別

「名古屋漢方」のムセキです。

本記事は、清暑益気湯についての解説記事になります。

最初に患者さんへの説明例、その後に詳しい処方解説を載せています。日々の業務で使う資料として、ご活用頂ければ幸いです。

ムセキ
よろしくお願いしますm(_ _)m

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<急ぎの方用>患者さんお客さんへの説明

ムセキ
私が普段行う説明を書いています。

一般的な説明

今日は、清暑益気湯という漢方薬が出ています。このお薬は、夏バテで身体がだるい場合によく使われるお薬です。

今日はどのような症状で受診されましたか?

○○という症状ですね。

お困りの症状に、先生はこれが良いと考えられたようです。このお薬は、元気が出る薬ですので一度、試してみてください。

身体が冷えたり、食欲が無くなりますと効き難くなりますので、体調には充分にお気をつけ下さい。

漢方医処方の場合の説明

今日は、清暑益気湯という漢方薬が出ています。このお薬は、夏バテや夏風邪で食欲が無くなり、身体がだるい場合によく使われるお薬です。

今日はどのような症状で受診されましたか?

○○という症状ですね。

お困りの症状に、先生はこれが良いと考えられたようです。このお薬は、胃腸の元気をつけて、心肺機能を高めてくれますので、一度、試してみてください。

身体が冷えたり、食欲が無くなりますと効き難くなりますので、体調には充分にお気をつけ下さい。

主な注意点、副作用等

アナフィラキシー

過敏症(発疹、蕁麻疹等)

消化器(食欲不振、胃部不快感、悪心、下痢等)

冷え

添付文書(ツムラ136番)

ツムラ清暑益気湯(外部リンク)

ムセキ
ここから下はゆっくりと読んで頂ければと思いますm(_ _)m

清暑益気湯についての漢方医学的説明

ムセキ
専門家向けの内容です。

生薬構成

蒼朮3.5、人参3.5、麦門冬3.5、黄耆3、陳皮3、当帰3、黄柏1、甘草1、五味子1

出典

医学六要

条文(書き下し)

「長夏(ちょうか:夏の土用)、湿熱大勝、人これに感じ、四肢困倦(ししこんけん:手足が重だるく)、身熱心煩、小便少なく、大便溏(だいべんとう:泥状便)し、あるいは渇し、あるいは渇せず。飲食を思わず、自汗するを治す。」

条文(現代語訳)

「夏の土用に、湿熱の毒が非常に強くなり、これに影響を受けて手足が重だるく、身体か熱っぽく気分的にも苦しく、尿量は少なく、泥状便で、喉が渇いたり乾かなかったりするもの。食欲が無く、自汗しているものを治す。」

解説

今回は、清暑益気湯の処方解説になります。この処方は、一般的には夏バテの処方として使われています。

それでは、まずは条文を見ていきます。条文は、要約しますと「夏の土用で、手足がだるくて身体が熱っぽく、泥状便で汗が出るもの。」となります。

非常に解りやすい条文ですね。そのものズバリ、夏バテの内容が書かれています。

長夏というのは夏の土用の事で、丁度7月終わりから8月初めにかけての時期になります。年4回ある土用の中心時期で、「土用の本」と言われています。

よく、「秋の9月10月が季節の変わり目」と言われますが、本来季節の変わり目というのはこの土用の時期の事です。

ここから、お盆に入って少し夏の暑さに陰りが混じるようになってきます。

次に、構成生薬を見ていきます。構成生薬は、それぞれ

補気:蒼朮、人参

健胃:蒼朮、陳皮

利水:蒼朮

肺陰を補う:麦門冬

肺気を補う:黄耆

補血:当帰

下焦の熱を取る:黄柏

諸薬の調和、緩和:甘草

肺気を守る:五味子

の様になります。非常に生薬の効果が解り辛く思われるかもしれませんが、この処方の場合、一歩引いて見てみると構成の妙が見えてきます。

生脈散という処方があります。これは、麦門冬、人参、五味子の3つだけから成る処方で、心肺の余分な熱を取って、粘膜を潤し、脈を正常に戻す働きがあります。

この生脈散は、清暑益気湯の中に丸々入っています。

また、脾胃(胃腸)の調子を整える人参、蒼朮、陳皮等が入っていますので、胃腸を丈夫にして元気をつける働きがある事が解ります。

胃腸で出来た気血は、黄耆と当帰で全身まで運ばれていきます。

最後に黄柏ですが、これは湿熱が基本的に下焦に溜まる為に配されているものと考えられます。

また、これは西洋医学ですが、黄柏の主成分であるベルベリンは殺菌作用もあります。ですので、胃腸の感染症にも使用可能な処方と言えます。

これらを全体的に考えますと、清暑益気湯の効能は、

①心肺の熱を取りながら動きを賦活する

②脾胃を健やかにして、気血を作る

③脾胃で出来た気血を全身に巡らせる

④湿熱を除く黄柏

の4つにまとまります。こう見てみると、すっきりと理解できるのではないでしょうか。

改めて眺めてみますと、似た名前の補中益気湯よりも素直な印象のある処方ですね。

以上、まとめますと、清暑益気湯は「夏の土用等、暑さ負けをしてしまい、心肺に熱が溜まって苦しく、元気が無くぐったりとして、泥状便が出、汗をかいているもの。」となります。

清暑益気湯は、同様の証であれば病名に関わらず使用可能です。また、夏の感染症対策にも使用できる優れた処方となります。

処方構成から見ると、温病にも使えますね。

本処方は、裏寒のある場合、脾虚の酷い場合には不適となりますので、注意が必要です。

鑑別

清暑益気湯と他処方との鑑別ですが、代表的なものに補中益気湯、炙甘草湯、麦門冬湯があります。それぞれについて解説していきます。

補中益気湯

清暑益気湯と補中益気湯は、似た様な名前であり、共に気を上げる働きがある為鑑別が必要となります。

補中益気湯は、簡単に説明しますと脾胃の力の虚と肝の実熱が存在する場合に、肺まで元気が上がらずに熱が籠もる場合に使用する処方となります。

その中には麦門冬は配されておらず、肺の陰虚はありません。具体的には皮膚粘膜の乾燥や口や喉の乾燥といった症状がありません。

清暑益気湯は、逆に柴胡が入っておりませんので、ストレスに晒されたイライラ症状等はありません。補中益気湯にはその様な傾向が見られます。

ですので、その辺りでこの2処方は鑑別が可能です。

参考記事
【漢方:41番】補中益気湯(ほちゅうえっきとう)の効果や副作用の解りやすい説明

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炙甘草湯

清暑益気湯と炙甘草湯は、同じ麦門冬が配された処方である為、鑑別が必要となります。

炙甘草湯は、分類で言いますと気血両補剤になります。清暑益気湯も当帰が入っておりますが、炙甘草湯は地黄も入る事でより血を補う効果が高く出てきます。

地黄が入るという事は、清暑益気湯に比べてより胃腸での消化力が必要となるという事になります。

ですので、体つきが中肉中背以上が目安となります(若しくは細くても食欲があって、筋肉質の方)。

食欲が無く、その関係で痩せている方に炙甘草湯を投与すると、地黄が障って下痢してしまう事があります。

また、炙甘草湯は麻子仁が配されており、その事から便が固めである事が解ります。

その辺りで清暑益気湯と鑑別が可能となります。

参考記事
炙甘草湯
【漢方:64番】炙甘草湯(しゃかんぞうとう)の効果や副作用の解りやすい説明

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麦門冬湯

清暑益気湯と麦門冬湯は、同じ麦門冬が配された処方である為、鑑別が必要となります。

麦門冬湯は、空咳が続く場合によく使用される処方です。ですが、その処方構成は人参や粳米と言った補気の生薬が配されています。

という事は、麦門冬湯が効くタイプというのは、脾虚で身体がやせ細っている人が対象になると言えます。

清暑益気湯の場合も脾虚がありますが、当帰が入っておりますので、脾虚の程度が酷すぎると使用出来ません。

少なくとも、食欲はまだ残って居ると考えた方が良いでしょう。

また、麦門冬湯の場合は泥状便ではありませんので、その辺りでも鑑別が可能となります。

参考記事
【漢方:29番】麦門冬湯(ばくもんどうとう)の効果や副作用の解りやすい説明

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お読み頂きありがとうございます。

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