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【漢方:95番】五虎湯(ごことう)の効果や副作用の解りやすい説明

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五虎湯

五虎湯

ポイント

この記事では、五虎湯についての次の事が解ります。

・患者さんへの説明方法、副作用や注意点

・出典(条文)、生薬構成

・詳しい解説、他処方との鑑別

「名古屋漢方.com」のムセキです。

本記事は、五虎湯についての解説記事になります。

最初に患者さんへの説明例、その後に詳しい処方解説を載せています。日々の業務で使う資料として、ご活用頂ければ幸いです。

ムセキ
よろしくお願いしますm(_ _)m

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<急ぎの方用>患者さんお客さんへの説明

ムセキ
私が普段行う説明を書いています。

一般的な説明

今日は、五虎湯という漢方薬が出ています。このお薬は、酷い喘息の場合によく使われるお薬です。

今日はどのような症状で受診されましたか?

○○という症状ですね。

お困りの症状に、先生はこれが良いと考えられたようです。このお薬は、呼吸を楽にするお薬ですので、一度、試してみてください。

身体が冷えたり、食欲が無くなりますと効き難くなりますので、体調には充分にお気をつけ下さい。

漢方医処方の場合の説明

今日は、五虎湯という漢方薬が出ています。このお薬は、酷い喘息の場合によく使われるお薬です。

麻杏甘石湯という有名な漢方薬に桑白皮(そうはくひ)という肺の熱を取る生薬が足された処方です。

今日はどのような症状で受診されましたか?

○○という症状ですね。

お困りの症状に、先生はこれが良いと考えられたようです。このお薬は、呼吸を楽にして痰も出すというお薬ですので、一度、試してみてください。

身体が冷えたり、食欲が無くなりますと効き難くなりますので、体調には充分にお気をつけ下さい。

主な注意点、副作用等

アナフィラキシー

偽アルドステロン症

自律神経系(不眠、発汗過多、頻脈、動悸、全身脱力感、精神興奮等)

消化器(食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、軟便、下痢等)

泌尿器(排尿障害等)

冷え

添付文書(ツムラ95番)

ツムラ五虎湯(外部リンク)

ムセキ
ここから下はゆっくりと読んで頂ければと思いますm(_ _)m

五虎湯についての漢方医学的説明

ムセキ
専門家向けの内容です。

生薬構成

石膏10、杏仁4、麻黄4、桑白皮3、甘草2

出典

万病回春

条文(書き下し)

「傷寒喘急は表を発するによろし。傷寒喘急を治す。痰あれば二陳湯を加え和す。」

条文(現代語訳)

「寒邪に侵された事による喘息は表を発するのが良い。この処方はその状態の病を治す。痰があれば二陳湯を加えて飲ませると良い。」

解説

今回は、五虎湯の処方解説になります。この処方は、一般的に喘息発作に使われています。出典である万病回春の記載も、非常に簡潔に書かれています。

それでは、条文を見ていきます。条文は、要約しますと「風邪等が原因の喘息は解表するのがよく、五虎湯が良い。痰もあれば二陳湯を加える。」という意味になります。

非常に簡単に書かれていますが、この処方の使用はそうはいきません。それは、構成生薬を見る事で解ります。

早速、見ていきます。構成生薬は、それぞれ

麻杏甘石湯:石膏、杏仁、麻黄、甘草

肺熱を去る:桑白皮

の様になります。上の表の通りで、五虎湯は麻杏甘石湯の加味方となり、その使用目標は麻杏甘石湯に準じます。

つまり、麻杏甘石湯の「表証が無く、肺に熱燥があり、それによる病邪の湿邪が存在して喘鳴のある者に使用する処方。」という使い方が基本となります。

更に、追加されている桑白皮の効能は肺熱を瀉し、熱痰を消すものになりますので、症状がより酷い「喘急」という場合に使用する処方である事が解ります。

ここで、条文と麻杏甘石湯の文章の矛盾点を解消していきます。五虎湯の条文には「表を発するによろし。」とありますが、麻杏甘石湯の使用法に「表証が無く」とあります。

文章からしますと矛盾しておりますが、ここでの表証は桂枝の要る様な病態を指します。体表が冷たく、頬が桜色になるような逆上せ症状のあるものです。

麻黄は太陽膀胱経という、首の後ろを流れている経絡が止まっているものに使用します。

五虎湯は太陽膀胱経の詰まりはありますが、気の詰まりは肺であり、水の処理も桂枝ではなく石膏で行っています。これがポイントになります。

五虎湯や麻杏甘石湯の場合は、心肺の機能不全を治す為に使用していますので、喘鳴や息苦しさがあればそれを目標に使用すれば良いでしょう。

以上、まとめますと、五虎湯は「風邪などが原因である喘息や咳で、表証が無く、肺に強い熱燥があり、それによる痰等の湿邪が存在する者に使用する処方。」と言えます。

本処方は裏寒や脾虚の場合は不適ですので注意が必要です。

鑑別

五虎湯と他処方との鑑別ですが、代表的なものに麻杏甘石湯、小青竜湯、神秘湯、麻黄湯があります。それぞれについて解説していきます。

麻杏甘石湯

五虎湯と麻杏甘石湯は処方構成がほぼ同じであり、共に喘息発作に使用する処方であるため鑑別対象となります。

上の解説の通りで、五虎湯は麻杏甘石湯に桑白皮を加えただけの処方ですので、ほぼ使用目標も同じです。

五虎湯の方が肺熱が強いので、鼻周辺の赤みや咳や喘鳴等の所見が麻杏甘石湯より強く出ます。症状が酷かったら五虎湯の方が良いかもしれません。

小青竜湯

五虎湯と小青竜湯は、共に喘息発作に使用する処方であるため鑑別対象となります。

この二処方の違いは、咳と共に出る痰になります。小青竜湯は水毒がメインとなりますので、鼻水や痰が透明で量が多いです。

五虎湯は痰がそこまで出ませんので、その部分で鑑別が可能となります。

神秘湯

五虎湯と神秘湯は、共に喘息に使用する処方であるため鑑別対象となります。

神秘湯には柴胡と厚朴が入りますので、その証に精神的なストレスが存在している事が解ります。胸脇苦満や目つきの鋭さ、喉のいがらっぽさ、食べ過ぎ傾向等の所見も現れます。

逆に、五虎湯にはその様な所見は無く、また、構成生薬が少ない為に効き目がシャープに出てきます。それらの違いが鑑別ポイントとなります。

お読み頂きありがとうございます。

ムセキ
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以上です。少しでも参考になれば幸いです。以下より、他の漢方記事が検索できますので、宜しければご活用下さい。

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