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漢方医学から学んだ「ストレスに負けない」コツ

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こんにちは、「名古屋漢方.com」のムセキです。

前の記事「気の流れを捉える技術を身につけるコツ」について書いていた時に、「感覚を研ぎ澄まして生きる事をもう少し深く考えてみよう。」と思い立ちました。

どうしてそういう事を思ったのか?それは、以前私が出席した精神科医の勉強会が根底にあります。

僕の治療は、病気を治そうと思ってるんじゃなくて、症状に対して薬を出している。

精神科系の薬が悪者扱いでねえ。そんなに言わなくてもいいじゃないか。

ムセキ
これを聴いた時、びっくりしました。びっくりド〇キーです。

全ての精神科医がそうじゃないと思うのですが、私が勉強会で話を聞いたこの医師は「僕は病気を治す気はない。別に薬漬けで良いじゃないか?」と言ったのと同じ様に聞こえたからです。

確かに、薬漬けでも生きているだけ良い、という考えならそれも良いのですが、ずっと薬に頼らないといけない生活というのは悲しいと思います。

治らないにしても、ちょっとでも薬が減ればそれでも前進ですし、気持ちだけでも「治す」「治る」という希望はやはり捨ててはいけないのではないでしょうか。

ムセキ
ちょっと話が逸れました。

で、そんな事があって、色々とどうすれば良いか考えたのですが、行きつく先はやっぱり「強くなるしかない」「ストレスに負けないようにする」という事しか無いと感じています。

どうすればいいの?

頑張れば良いの?

「頑張れ!」というのは簡単ですが、それは頑張れるエネルギーがあって、初めて成り立つ事だと思います。

ムセキ
頑張るエネルギーが無いのに頑張れと言うのは酷ですよね。

だったらどうすれば良いのか?その辺を、漢方医学的にどう考えるのか、お話ししたいと思います。

よろしくお願いしますm(_ _)m

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戦乱や侵略の時代

ムセキ
昔を考えると、今の時代は天国かもしれません。

考えてみますと、昔の方が戦乱や侵略で、命が無くなる危険性が高い危ない時代でした。

しかし、今の時代は、災害や事件等はありますが、トータルで見ると命の危険が少ない時代と言って良いと思います。

昔、明治時代に日本を訪れた外国人は、日本人の事を「本当によく笑う民族だ。」と言っていたそうです。

ムセキ
今の日本人はどうでしょうか・・・?

昔の日本人はメンタル的にタフだった?!

ムセキ
よく笑う民族?!私はビックリしました。

昔の日本の方が厳しく苦しい時代だったはずですが、日本人のメンタルは今よりタフだったのかもしれません。

ムセキ
苦しさを笑いで、希望で乗り切っていたように思います。

そこで疑問が出てきます。そのタフさは何処から来て、どうして今の日本人には無くなってしまったのでしょうか。

豊かさが奪ったもの

ムセキ
豊かさは、色々なものを知らず知らずのうちに奪いました。

現代は、まずは命の危険が無く、子供も大人まで無事に成長する事が多くなりました。

エアコンや冷蔵庫での快適な生活、ゲームや音楽、映画やスポーツ、テレビ等で娯楽も簡単に手に入る様になりました。昔の人からすれば天国だと思います。

しかし、いざ手に入れたら、それに対する感謝をせずに不満ばかり言う様になってしまいました。

また、快適な生活や口当たりの良い食べ物は胃腸に対するダメージを蓄積させ、身体に毒を溜め込むようになりました。

それは腎まで影響が及んでおり、子供の出生数も少なくなりました。漢方の状態では、前者は心の弱り、後者は腎(根本の生命力)の弱りと言えます。

豊かさは、精神的タフさと、生きる力を知らずのうちに奪って弱らせたのではないでしょうか。

上盛下虚を治す事が大事

ムセキ
心と腎が弱くなると心腎交通が弱ります。

漢方医学的には、心と腎が弱くなると心腎交通が弱るとされています(心腎不交)。つまり、身体の上下の結びつき(陰陽の結びつき)が弱くなってきます。

そうしますと、本来の身体のバランスからは反対となる、上盛下虚という状態になります。

これは、上半身に余分な熱や毒が溜まって下半身が弱くなる事を指しています。

お年寄りは腎が弱っていますので、下半身が細くなって上盛下虚となっていますが、それが若い人にも起こる様になったのです。

それを治す為には、弱った心と腎を回復させて、心腎不交とそれに続発する上盛下虚を治す必要があります。

心腎交通をつける

ムセキ
心腎は離れると陰陽の回転が悪くなるので病気になります。

「心と腎を回復させる必要がある」と上で書きましたが、ポイントは「心腎交通をつける」という所にあります。

上盛下虚というバランスの不具合は、身体のストレス耐性自体を弱くしてしまっています。

言い換えますと、心腎交通を回復させて上盛下虚を解除し、ストレス耐性をどうやってつけていくか、という事が重要になってきます。

心の潤い不足

ムセキ
腎気は潤いの気です。

漢方医学の言葉で、陰虚火旺という言葉があります。これは、潤いが無くなって乾燥した所に熱が発生するという事を表しています。

有名なものに、肺の陰虚火旺がありますが、これは補陰の生薬である麦門冬を使うような状態を指します。

それと同じように、心腎交通が悪くなると、心が渇いてきます。身体的には上盛下虚という状態ですが、精神的には心が渇き、情緒が少なくなるという訳です。

そして、その乾いた所には熱が生まれやすく、それによりストレス耐性が弱くなっているのだと考えられます。

心の陰虚というのはそのまま「心の潤い不足」と捉えられ、この心の潤い=情緒を回復させるという事がストレス耐性をつける上で非常に大切になってきます。

心の潤う生活、自然と共に歩み、楽しむ生活をする

ムセキ
心の潤い(情緒)を回復させる方法です。

心腎交通を回復させ上盛下虚を解除し、心の潤いを回復させる事がストレス耐性を高めると漢方医学的には言えますが、どうやって、それをすれば良いのでしょうか。

結局、「気の流れを捉える技術」の記事でお話させて頂いた事と被ってしまうのですが、日常で季節の変化、一日の移り変わり、自然の姿に感動する事だと私は実感しています。

感じるのが難しいのであれば、短歌、和歌、写真、絵など、何でもいいので芸術に触れる事がそれを可能とします。

また、よく笑い、神様に感謝を捧げ、祖先を敬う行為が、失った情緒を取り戻す助けになるのではないでしょうか。

そしてそれは、心腎交通を回復させることになり、ストレス耐性を高める事になるのだと思います。

朝一回、起きて直ぐに外の景色を見て「美しい」と感じるだけでも効果があると思います。是非、お試しください。

参考記事
気の流れを捉える技術を身につけるコツ

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ストレスの発散方法とお勧め漢方薬

ムセキ
補足です。

上の見出しまでで、ストレス耐性を高める方法を取り上げましたが、ストレスの発散方法は別記事で書いておりますので、ご参考頂ければ幸いです。お勧め漢方薬について、私がよく使うものを挙げておきます(実際の漢方についてのご質問は、Amazonやお店へお願いします)。

①不安、悲しみが大きい時

何かのショックや出来事が原因で、不安な気分になったり泣きたくなった時は、甘麦大棗湯が合う場合が多いです。

新人教育の際、新人が「自分はなんて能力のない人間だ!」と嘆き悲しんだ時に私はよく使います(新人、特に初めの2,3か月は思いっきり怒られる事ばかりなので、大抵心気虚になります。)。

真武湯と合方しますと、非常によく効く印象です。

②怒りが大きい時

大きく2タイプに分かれますが、がっしりタイプで皮膚が浅黒い、目つきの鋭い人によく効くのは竜胆瀉肝湯です。

全身が筋張っていて痩せていて目つきが鋭く、噛みつくような言動の多い女性抑肝散(加陳皮半夏)でしょうか(抑肝散系統は、体質と言って良いので、継続で出す場合が多い処方です)。抑肝散加陳皮半夏の方が、より胃腸が弱い方向けです。

③身体が冷えてだるく、やる気が起きない時

冷えがあって、食欲があれば真武湯ですね。食欲が無ければ人参湯を使います。

冷え(裏寒)については、こちらの記事もご覧ください

④食欲があるけれど、疲れて逆上せて、ボーッとして物事を忘れやすい時

このような場合は人参養栄湯を使います。この薬が合う方は、受け答え時に反応が一拍遅れる事が多い印象です。

ムセキ
もし良かったら使ってみてください。

お読み頂きありがとうございます。

ムセキ
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以上です。少しでも参考になれば幸いです。以下より、他の漢方記事が検索できますので、宜しければご活用下さい。

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