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【漢方:113番】三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)の効果や副作用の解りやすい説明

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三黄瀉心湯

三黄瀉心湯

ポイント

この記事では、三黄瀉心湯についての次の事が解ります。

・患者さんへの説明方法、副作用や注意点

・出典(条文)、生薬構成

・詳しい解説、他処方との鑑別

「名古屋漢方.com」のムセキです。

本記事は、三黄瀉心湯についての解説記事になります。

最初に患者さんへの説明例、その後に詳しい処方解説を載せています。日々の業務で使う資料として、ご活用頂ければ幸いです。

ムセキ
よろしくお願いしますm(_ _)m

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<急ぎの方用>患者さんお客さんへの説明

ムセキ
私が普段行う説明を書いています。

一般的な説明

今日は、三黄瀉心湯という漢方薬が出ています。このお薬は、鼻血がよく出る場合や、血圧が高かったりする場合によく使われるお薬です。

今日はどのような症状で受診されましたか?

○○という症状ですね。

お困りの症状に、先生はこれが良いと考えられたようです。このお薬は、心の余分な熱を取ってくれますので、一度、試してみてください。

身体が冷えたり、食欲が無くなりますと効き難くなりますので、体調には充分にお気をつけ下さい。

漢方医処方の場合の説明

今日は、三黄瀉心湯という漢方薬が出ています。このお薬は、鼻血がよく出る場合や、血圧が高かったりする場合によく使われるお薬です。

逆上せが酷くてボーッとする場合にも使われる事があります。

今日はどのような症状で受診されましたか?

○○という症状ですね。

お困りの症状に、先生はこれが良いと考えられたようです。このお薬は、身体の中心にある余分な熱を取ってくれますので、一度、試してみてください。

身体が冷えたり、食欲が無くなりますと効き難くなりますので、体調には充分にお気をつけ下さい。

主な注意点、副作用等

アナフィラキシー

間質性肺炎

肝機能障害、黄疸

消化器(食欲不振、腹痛、下痢等)

添付文書(ツムラ113番)

ツムラ三黄瀉心湯(外部リンク)

ムセキ
ここから下はゆっくりと読んで頂ければと思いますm(_ _)m

三黄瀉心湯についての漢方医学的説明

ムセキ
専門家向けの内容です。

生薬構成

黄芩3、黄連3、大黄3

出典

金匱要略

条文(書き下し)

「心気不足(定)にして、吐血、衂血(はなぢ:鼻血)する証。」

条文(現代語訳)

「心気が不足し(心気が定まらず)、吐血、衂血する証。」

解説

今回は、三黄瀉心湯の処方解説になります。この処方は、一般的に強い咳に使われています。

それでは、まずは条文を見ていきます。条文は、上に書かせて頂いた通り「不足」となっている書物と「不定」となっている書物とあります。

後半部分の「吐血、衂血(鼻血)する証。」という部分は変わりませんが、不足か不定かで意味が全く変わってきます。

つまり、不足としますと「心気が足りない」という事で、不定ですと「心気がふらついている」という事になります。

この部分は非常に大切な部分になりますので、どちらか解らないと、その影響は三黄瀉心湯の項目全てに影響が出てきます。

只、三黄瀉心湯(金匱要略原典では瀉心湯)という名前になりますので、そのまま読むと「心を瀉す」処方になります。つまり、余分な心気を取り去る処方という意味になります。

ここではこれ位にしておいて、構成生薬に進みます。

次に、構成生薬を見ていきます。構成生薬は、それぞれ

肺熱を去る:黄芩

心熱を去る:黄連

除湿熱、去胃熱、駆瘀血、諸々の毒を取り去る:大黄

の様になります。

黄芩・黄連は組んで心肺の実熱を取り去る働きがあり、大黄は胃腸の熱、瘀血を中心とした種々の毒を体外に出す働きがあります。

構成生薬からすると、「とにかく心肺等の上焦にある熱、胃熱を対外に出してしまおう。」という処方になります。

吐血衂血等の鋭い症状が条文にあるのも、それらを裏付けています。構成生薬から見た場合も、「心気不定」とした方がしっくりと来る事が解ります。

話を変えて、三黄瀉心湯の所見をご紹介します。この処方は、とにかく上焦の心肺の実熱を取り去る処方になります。

ですので顔は赤黒く、うわ言を言ったりと精神的にも異常が出てきます。また、生薬の数が3種類と少ないですので、緊急の場合に使用する頓服処方になります。

条文にある鼻血というのは脳に対する安全弁として働いており、これが切れるという事は、血管壁に対する圧を下げるという機構が働いたという事になります。

言い換えますと、脳血管の圧力が高まった時にに鼻血の機構が働かなかった場合、急性の脳血管障害を発症する危険もあります。

その鼻血が良く出るという事は、上焦の裏に熱の存在があるという事になります。三黄瀉心湯は、それらの熱を取り去るという働きをします。

以上、まとめますと、三黄瀉心湯は「吐血や鼻血があったり、脳血管障害前等で、顔が赤黒く、うわ言を言ったり等の精神異常をきたすものに使用する処方。」となります。

様々な角度から見た場合、「心気不足」よりは「心気不定」とした方が辻褄が合いますので、私はこの解釈を採用しています。

繰り返しになりますが、金匱要略には「瀉心湯」という名前で出ており、その名の通り心を瀉す処方になります。ですので、「心気は実である。」というのもあります。

また、本処方は、裏寒や脾虚がある場合は注意が必要となります。

鑑別

三黄瀉心湯と他処方との鑑別ですが、代表的なものに半夏瀉心湯、黄連解毒湯、清心蓮子飲があります。それぞれについて解説していきます。

半夏瀉心湯

三黄瀉心湯と半夏瀉心湯は、共に瀉心湯類となり、心を瀉す処方となりますので鑑別対象となります。

半夏瀉心湯は、その処方中に人参や乾姜が入り、脾虚や腹部が冷えている所見があります。

また、半夏が多量に入っておりますので、心下痞硬等の胃の湿邪による詰まりがあるのが特徴となります。

三黄瀉心湯には、その様な所見はありませんのでそこの有無が鑑別ポイントになります。

参考記事
【漢方:14番】半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)の効果や副作用の解りやすい説明

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黄連解毒湯

三黄瀉心湯と黄連解毒湯は、共に実熱を瀉す処方であり、鑑別対象となります。

黄連解毒湯は、元々体調が悪い場合に飲酒した為に起こった酒毒の処方となります。

しかし、三黄瀉心湯と黄連解毒湯は、処方の意図や構成生薬のグループがかなりの部分似ていますので、鑑別を間違ってもそこまで大きなミスにはならないものと考えられます。

ですが、その場合でも「より効果が高い方法を」と考えますと、それぞれの証には合うものを選んだ方が良いのは間違いありません。

ですので、これら2処方での鑑別は、条文の使い分けの通りとするのが良いでしょう。

つまり、三黄瀉心湯は「吐血や鼻血があったり、脳血管障害前等で、顔が赤黒く、うわ言を言ったり等の精神異常をきたすもの。」、黄連解毒湯は「傷寒後の酒毒に中(あた)った時。」という使用目標が鑑別ポイントとなります。

参考記事
【漢方:15番】黄連解毒湯(おうれんげどくとう)の効果や副作用の解りやすい説明

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清心蓮子飲

三黄瀉心湯と清心蓮子飲は、共に心熱を取る処方となりますので鑑別対象となります。

清心蓮子飲の「清心」も、心の熱を冷ますという意味があります。さて、この清心蓮子飲を使用する場合と三黄瀉心湯の場合でどのように違うのでしょうか。

清心蓮子飲の場合、その処方中に麦門冬が入り、粘膜や皮膚の乾燥がある事が解ります。

また、地骨皮という肝腎の虚熱を冷ます処方が配されており、心腎交通が悪くなり、尿の異常が出てきます。

三黄瀉心湯にはその様な所見が無く、また、清心蓮子飲よりも強い熱ですので顔が赤黒く精神的にも気がふれかけて苦しんでいるのが特徴です。

それらの違いが鑑別ポイントとなります。

参考記事
清心蓮子飲
【漢方:111番】清心蓮子飲(せいしんれんしいん)の効果や副作用の解りやすい説明

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お読み頂きありがとうございます。

ムセキ
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