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漢方医学での治療目標

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こんにちは。「名古屋漢方.com」の無石です。本日は、「漢方医学での治療目標」について書いていきたいと思います。

漢方を専門としている治療家の方の中でも、その「治療目標」は様々です。中には間違っている先生も見えるのが現実です。

そういえば、本にも治療目標とかってあまり載っていないような。

治れば何でもいいんじゃないの?

ムセキ
治療目標の重要性って、思いの外話される事が無いんですよね。

たまたま治っただけだったら、その時に偶然当たっただけとも考えられます。治療目標がはっきりしていれば、治療に迷う事がありません。

今日は、どのような治療目標を持って治療に当たればいいかという事を書けたらと思います。宜しくお願いいたします。

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ぼやけた治療目標はダメ

ムセキ
目標はハッキリとしている方が良いです。

例えば、「ホメオスタシスを回復」「扶正去邪」「気を流す」という方針があります。これらは、よく漢方の治療目標として挙げられます。

どれも正しい様に見えますが、実はどれも正しいです。しかし、これだとピントがぼやけていて、「確実に理解」する事が出来ません。

ピントがぼやけて「何となく」な目標では、良い治療は難しいと思います。

治療目標に限らず、漢方医学の世界は「ピントのズレ」「誤訳」「誤解」等が至る所に潜んでいます。それらの罠を掻い潜るには、一歩一歩慎重に前進するしかありません。

治療方針がしっかりしていないと治療に失敗します

ムセキ
まさに「砂上の楼閣」です。

治療目標がしっかりしていないという事は、土台がしっかりしていないという事です。砂上の楼閣になってしまい、城を建てても崩れてしまいます。

漢方医学も同様で、あやふやな方針で治療を行うと、患者を逆に害してしまう事にも繋がります。本当に難しいのですが、そのようにならないよう、努力する必要があります。

最終的な治療の方針に対するピントを合わせる

ムセキ
ブレないというのは物凄く強いです。

どのような治療を行うにしても、最終的な着地点を定めておかないと良い治療は出来ません。例えば補碑するにしても、駆瘀血するにしても、最終的なゴールラインは一緒な訳です。

そのゴールラインを理解する為には、最終的に到達する理想的な状態を知らないといけません。

黄帝内経素問の記述

ムセキ
「道」が基本となります。

さて、その理想的な状態とはどのようなものでしょうか。漢方医学の理論書である黄帝内経素問の記述を見てみると、「道を身につけ」となっています。

つまり、全ての治療は「道」に沿った方法を取らないといけないということになります。

天地の理=「道」に沿った治療

ムセキ
道について「腑に落ちる」事が重要です。

何だかよく分らなくなって来ましたが、「道」とは何でしょうか。残念ながら、道は何かという事は言葉を尽くしても言い表せません。これは老子道徳経にもそう記載があります。

しかし、体感する事は可能です。どの姿勢でも良いですので、身体の力を抜いてリラックスし、意識を丹田に集中し、腹式呼吸を繰り替えしてみましょう。

その時、一瞬、何もかも忘れて澄んだ気持ちになる時があると思います。その瞬間の身体の感覚が「道」になります。それを常時行う事が、「道を会得する」という事になります。

「道」を感じた時の状態や気持ちは人それぞれ違うと思いますが、その時、とてもリラックスした状態だったという事を思い出して頂ければ良いと思います。

ムセキ
これを薬で行うのが「漢方医学」です。

生体の根本は腎

ムセキ
腎精を守る事が重要です。

一つ前の見出しで行った事は、老子の仰る「その心を虚し、その腹を実す」「陰を背負い、陽を抱く」事になります。

丹田の部分は「気海」という別名を持ち、ここを含む下半身を強固にしていく、土台をしっかりとさせるのが漢方医学の真髄となります。

五行で言いますと、下半身は肝腎の受け持つ領域で、特に、その中でも陰中の陰である腎を強固にしていく事が、「道」の理に沿った治療と言えるでしょう。

「上善は水の如し」とも老子は仰っていますが、そのまま五行の木火土金水で言いますと水の領域こそ治療上最も重要な部分であると言えます。

ですので、どのような治療を行うにしても、最終的に腎を養うような治療を行う事が漢方医学の要であると言えます。

腎(土台)をしっかりさせる

ムセキ
腎精=人生とも言えます。

さて、腎を強固にする必要があるという事が解りました。しかし、単純に「じゃあ補腎剤入れりゃいいのでは?」と行かない所が漢方医学の難しい所です。

補腎剤というのは、使う為に幾つもの条件をクリアする必要があります。その条件をクリア出来ない時は、その条件を取り払う薬を使う必要があります。

ムセキ
「最終的に腎を治療する」というのは、その点がポイントになります。

例えば、補脾剤を使う場合、その薬を投与する事で気を巡らせ、最終的に腎(下半身)まで気の流れを到達させてやる事を考えないといけません。

ですので、表面上は逆の効能が現れるように見える事があります(例えば、「熱薬である附子剤を使うと顔の赤みが引いた。」「補脾剤を飲んだら便が出た。」等)。

なので、生薬の薬能で寒熱温涼平というものがありますが、これは生薬自体の性質であり、それを飲んだ生体の反応ではないという事を念頭に置く必要があります。

ムセキ
ちなみに、逆に冷やす薬で身体を温める場合もあります。

腎が強固になる→老化防止

ムセキ
「腎が衰える=老い」と言えます。

腎を強固にする事は、老化防止になります。土台を強くしますので、そこから発生する全ての事が回る訳です。

これが腎を補う漢方医学の大本の目的と言えます。それを念頭に置いて漢方治療を行う必要があります。

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ムセキ
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