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漢方の陰陽理論について、詳しく知りたいです。
上記の質問をスッキリ解決!して頂けるよう、記事を書いて行きます。
「名古屋漢方」のムセキです。今日は、漢方の基礎である「陰陽」について、お話していきます。
陰陽については、大体の漢方入門書に載っている概念です。
しかし、肝腎の説明は簡単に書かれているだけのことが多く、その本当の使い方については、「失われた漢方知識」と言っても過言ではありません。
陰陽を極めるだけで漢方医学の全体を極めた事になりますので、本記事がそのきっかけになれば良いなと思います。
本記事では、以下の様な事が解ります。
ポイント
・陰陽は漢方医学の根本
・陰陽の展開(重要)
・陰陽互根
・陰陽制約
・陰陽消長
・陰陽転化
・陰陽可分

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実は、陰陽が解ると漢方が解ります。

陰陽は漢方医学の根本概念になります。古代中国の思想である道教が発端になります。世の中の様々なものを陰陽に分け、その対立の中の関係性を論じる概念とされています。
主に、陰は「女、暗い、物質、重い、低い、ネガティブ」等の概念を総括し、陽は「男、明るい、エネルギー、軽い、高い、ポジティブ」等の概念を総括します。
陰陽は相対的な概念であり、見方によって陰陽が逆転する場合もあります。
ここまでが一般的な陰陽の全体的な説明になります。次の見出しで、「失われた漢方知識」から見た陰陽をお話します。
陰陽の展開

前の見出しで、「世の中の様々なものを陰陽に分け、その対立の中の関係性を論じる概念」と説明させて頂きました。
それはそうなのですが、実は、この説明では片手落ちになります。
もう一つの説明は、「世の中のものを陰陽にまとめ、最終的にそれらを同一のものとして扱う概念」になります。
つまり、寒熱、光影、高低、美醜等の陰陽概念というのは、他方が存在するから存在しているものであり、一方が消失した場合は成り立たないものである、という事になります。
簡単に表現しますと、「陰陽という対立構造が消えた先にある静寂が大事。」と言えます。これが、道教の根本である「道」になります。
道に至る過程の中で、陰陽という概念が現れます。この流れは、通常の
道→陰陽→気血水→五行
という通常の漢方医学で使われる遠心性の展開とは逆で、
五行→気血水→陰陽→道
という求心性の展開になります。陰陽という概念を考える上では、この表裏の展開を覚えておかないといけません。
ですので、漢方医学における重要度は、
道>陰陽>気血水>五行
となり、五行・五臓に重点を置いて治療すると失敗する危険性が高くなります(治療の根ではなく枝葉ばかりを治療している事になる為)。
これは、江戸時代の医師である岡本一抱先生もその著作の中で述べられています。
現代の漢方入門書での陰陽の説明では求心性の展開は書かれていない為、片手落ちになります。

陰陽互根
陰があれば陽があり、陽があれば陰があります。陰は陽に根ざし、陽は陰に根ざし、離れることが出来ません。
例えば、「美しい」という概念は、同時に「醜い」という概念が存在して初めて成立する相対的な概念です。
他の例えを用いると、「高い」所は「低い」所があるので成立するということです。
景気の循環を見ていると、それが良く解ると思います。例えば、株価が高騰している時は暴落しやすく、低迷している時は上がりやすくなります。
また、季節の移り変わりを見ても、夏で気温が最高になり、冬で最低になり、それが繰り返されて進んでいきます。
世の中は陰陽の移り変わりで成り立っていると言えます。今が悪い時でも、未来は解りません。希望を持って生活する事が大事です。
陰陽制約
陰陽は対立し、陰陽が互いにバランスをとるよう作用するということを陰陽制約と言います。これは、陰陽の緩衝作用と言い換えても良いでしょう。
例えば、火に熱された水はやがて冷めますが、氷はやがて溶けます。
また、福島の原発事故がありましたが、放射性物質は時を経るに従って、雨風で薄まり、海に溶けて濃度を下げました。
このように、行き過ぎたものを揺り戻して中間点に戻そうとする働きが陰陽にはあります。
仏教においても「中道」という、偏らない生き方は大事になります。そして、それは漢方医学においてもそのまま当てはまります。
陰陽消長
陰陽の時間による量的な変化を言います。
例えば、時間の変化と共に、夜(陰)から朝(陽)に移り変わり、また朝(陽)から夜(陰)に移ります。
これは、陰が盛んな状態も、次第に陰が減少して陽が益し、また、陽が盛んな状態も、次第に陽が減少して陰が益し、相互に移り変わるということです。
また、季節の変化、太陽の運行、経済等の移り変わりを見ても、陰陽消長が起こるという事が解ります。
陰陽転化
陰陽の質的な変化が起こるという事をこう言います。
陰極まれば陽となり、陽極まれば陰となります。この例えは、ある道の始点と終点において、終点まで行って戻る場合は、今度はその終点が始点となり、始点が終点に置き換わるという事で理解できます。
淮南子の塞翁が馬という話も、代表的な陰陽転化の例だと言えます。
陰陽可分
陰陽それぞれの中に様々な段階の陰陽があります。
見方によって陰陽が逆転し、更に「陰の中の陽、陽の中の陰」のように入れ子構造になって存在します。
入れ子構造になっているが為に、何処までも細分化でき、また、逆に俯瞰的にも見ることが可能となります。
部分と全体では、類似パターンが見られ、フラクタルな関連性が存在します。
宇宙の中の銀河系、銀河系の中の太陽系、太陽系の中の地球、地球の中の人間という風に、それぞれ入れ子構造となります。
お読み頂きありがとうございます。

以上です。少しでも参考になれば幸いです。以下より、他の漢方記事が検索できますので、宜しければご活用下さい。
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