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漢方薬の解りやすい説明

【漢方:35番】四逆散(しぎゃくさん)の効果や副作用の解りやすい説明

更新日:

ポイント

この記事では、四逆散についての次の事が解ります。

・患者さんへの説明方法、副作用や注意点

・出典(条文)、生薬構成

・詳しい解説、他処方との鑑別

「名古屋漢方.com」のムセキです。

本記事は、四逆散についての解説記事になります。

最初に患者さんへの説明例、その後に詳しい処方解説を載せています。日々の業務で使う資料としてご活用頂ければ幸いです。

ムセキ
よろしくお願いしますm(_ _)m

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<急ぎの方用>患者さんお客さんへの説明

ムセキ
私が普段行う説明を書いています。

一般的な説明

今日は四逆散という漢方薬が出ています。手足が冷えて上半身がのぼせる状態を治す薬になります。

ストレスを取って胃のつまりも改善して、身体の状態を良くします。お困りの○○といった症状は、先生はこのお薬が良いと判断されたようですね。

身体が冷えないように注意して頂くのと、規則正しい食生活を行って、夜は早く寝る事が重要です。

一度、これで様子見てください。

漢方医処方の場合の説明

今日は四逆散という漢方薬が出ています。

四逆というのは、漢方用語で手足が冷えて上半身がのぼせると言った意味で、その状態を治す薬としてこのお薬が出ています。

ストレスを取って、胃のつまりも改善して、身体の状態を良くします。お困りの○○といった症状は、先生はこのお薬が良いと判断されたようですね。

身体が冷えないように注意して頂くのと、規則正しい食生活を行って、夜は早く寝る事が重要です。

一度、これで様子見てください。

主な注意点、副作用等

アナフィラキシー

偽アルドステロン症

食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、腹痛、下痢等

冷え

添付文書(ツムラ35番)

ツムラ四逆散(外部リンク)

ムセキ
ここから下はゆっくりと読んで頂ければと思いますm(_ _)m

四逆散についての漢方医学的説明

ムセキ
専門家向けの内容です。

生薬構成

柴胡5、芍薬4、枳実2、甘草1.5

出典

傷寒論

条文(書き下し)

「四逆し、その人あるいは悸し、あるいは小便利せず、あるいは腹中痛み、あるいは泄利下重する証。」

条文(現代語訳)

「四逆という状態(手足が冷えて上半身が熱い)で、その状態にある人があるいは動悸、あるいは尿が出にくい、あるいは腹痛、あるいは下痢が止まらないもの。」

解説

四逆散(しぎゃくさん)という処方ですが、四逆についてまず書いておきます。

四逆というのは、四肢厥逆(ししけつぎゃく)という文字を短くしたものであり、手足が冷えて逆に上半身が熱く逆上せるという状態を指します。

西洋医学では考えない状態ですが、漢方理論においては病的な状態と捉えます。

逆に言いますと、漢方理論において理想的な状態というのは頭寒足熱と言い、その言葉通りに足が温まって頭が冷めている状態を言います。

四逆というのは、非常に良くない状態という訳です。

条文を見ていきます。条文は非常に簡単に書かれており、上半身に余分な熱が溜まり、下半身に力が入らない虚の状態を表しています。

動悸というのが上半身の余分な熱で、尿が出にくい、腹痛、下痢が下半身の虚になります。

生薬構成を見てみますと四味と非常に簡単な処方で、柴胡で胸脇部の詰まり(肝鬱、肝熱)を取り、芍薬で肝陰を補います(所見では、腹直筋緊張等の骨格筋が固い場合が多いです)。

枳実は胃の詰まりを取りますが、胃の詰まりを取ると、自動的にそこから手前の口、食道等の熱も取れてきます(効果が上半身全体に及ぶ場合もあります)。

四逆散証の四逆という状態は、柴胡証(イライラ、ストレス等)で起こるとも言えます。

この処方には、胃腸を補う処方が入っておらず、芍薬や枳実等の胃の力を必要とする生薬が含まれておりますので、脾虚の場合には使用が不適となる場合がありますので注意が必要です。

また、裏寒の場合にも注意が必要です。

鑑別

四逆という名前のつく処方は、四逆散の他に「四逆湯(茯苓四逆湯、四逆加人参湯、通脈四逆湯(つうみゃくしぎゃくとう)等も含む)」や「当帰四逆湯(当帰四逆加呉茱萸生姜湯も含む)」があります。

3つとも、原因は違いますが同じような症状になってきます。それぞれの処方との鑑別を書く前に、簡単に使用目標の違いをご紹介します。

ポイント

四逆散・・・肝鬱(柴胡証。肝気鬱。)

当帰四逆湯・・・肝陽虚(経の冷えによる疏泄不良)

四逆湯・・・裏寒外熱(身体の中心が冷えて表面が熱い)

それぞれ似たような症状になりますので、鑑別が必要となります。四逆散はすでに解説していますので、残りの二つを簡単に鑑別方法を書いて行きます。

当帰四逆湯(当帰四逆加呉茱萸生姜湯)

当帰四逆加呉茱萸生姜湯という、何やらお経の文句みたいな名前の漢方処方が有名ですが、元々の処方は当帰四逆湯という名前です。

それに、生姜と呉茱萸(ごしゅゆ)を加えた処方が当帰四逆加呉茱萸生姜湯になります。
この処方は、上で書いた通り「肝陽虚」の処方になります(適切な言葉を色々と探しましたが、私の中ではこれが一番当てはまりました)。

身体の冷えにも色々あり、この処方で治る証は肝が冷えて経絡が冷え、疏泄不良となっている場合に使います。

簡単な表現を用いますと、「血を温めて巡りを良くする処方」と言えます。

本処方の元は桂枝湯から出発しており、生薬構成上に桂枝を含んでいる為に、この証の場合は顔の頬が火照っているのが特徴です。

気血の巡りが悪いので、中心部は逆上せて四肢は冷えて来るという「四逆」の状態を起こします。

当然、肝気鬱結はありませんので、胸脇苦満は起こらず、また、眼付きの鋭さや雰囲気が固いという柴胡証(肝気鬱結)は無いのが特徴です。

その辺りで四逆散との鑑別が出来ます。

四逆湯

エキス剤にはありませんが、四逆湯との鑑別を書いておきます。

この方剤は、裏寒に対する代表的な処方で、身体の中心部が冷えて、逆に身体の表面が熱くなるという状態に使われます。

この処方の適応となる証の場合は、だん中というツボが冷え、手首足首等関節が冷え、顔の中心部が青黒くなり、へその下も冷えて元気が無くなってぐったりとしています。

とにかく身体の芯が冷え切っている状態です。

そのような所見になりますので、勿論、胸脇苦満はありません。また、食欲が無くぐったりとしているというのがポイントとなります。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯は当帰や芍薬と言った胃腸に触る生薬が含まれていますので、最低限食欲があるのが特徴です。

更に、当帰四逆加呉茱萸生姜湯の場合は裏寒所見がありませんので、その辺りでも鑑別が可能になります。

尚、エキス剤に無い四逆湯の代用は附子理中湯になります。下記のリンクをご参照頂ければ幸いです。

お読み頂きありがとうございます。

ムセキ
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以上です。少しでも参考になれば幸いです。以下より、他の漢方記事が検索できますので、宜しければご活用下さい。

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