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【漢方:107番】牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)の効果や副作用の解りやすい説明

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牛車腎気丸

牛車腎気丸

ポイント

この記事では、牛車腎気丸についての次の事が解ります。

・患者さんへの説明方法、副作用や注意点

・出典(条文)、生薬構成

・詳しい解説、他処方との鑑別

「名古屋漢方.com」のムセキです。

本記事は、牛車腎気丸についての解説記事になります。

最初に患者さんへの説明例、その後に詳しい処方解説を載せています。日々の業務で使う資料として、ご活用頂ければ幸いです。

ムセキ
よろしくお願いしますm(_ _)m

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<急ぎの方用>患者さんお客さんへの説明

ムセキ
私が普段行う説明を書いています。

一般的な説明

今日は、牛車腎気丸という漢方薬が出ています。このお薬は、腰痛や尿がで渋る場合によく使われるお薬です。

今日はどのような症状で受診されましたか?

○○という症状ですね。

お困りの症状に、先生はこれが良いと考えられたようです。このお薬は、長く飲むタイプのお薬で、ゆっくりと症状が改善してきます。

一度、試してみてください。

身体が冷えたり、食欲が無くなりますと効き難くなりますので、体調には充分にお気をつけ下さい。

漢方医処方の場合の説明

今日は、牛車腎気丸という漢方薬が出ています。このお薬は、腰痛や尿がで渋る場合によく使われるお薬です。

その他にも、八味地黄丸という漢方薬と似ていますので、老化防止の効果があります。

今日はどのような症状で受診されましたか?

○○という症状ですね。

お困りの症状に、先生はこれが良いと考えられたようです。このお薬は、長く飲むタイプのお薬で、ゆっくりと症状が改善してきます。

一度、試してみてください。

身体が冷えたり、食欲が無くなりますと効き難くなりますので、体調には充分にお気をつけ下さい。

主な注意点、副作用等

間質性肺炎

肝機能障害、黄疸

過敏症(発疹、発赤、そう痒等)

消化器(食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、腹部膨満感、腹痛、下痢、便秘等)

その他(心悸亢進、のぼせ、舌のしびれ等)

添付文書(ツムラ107番)

ツムラ牛車腎気丸(外部リンク)

ムセキ
ここから下はゆっくりと読んで頂ければと思いますm(_ _)m

牛車腎気丸についての漢方医学的説明

ムセキ
専門家向けの内容です。

生薬構成

地黄5、牛膝3、山茱萸3、山薬3、車前子3、沢瀉3、茯苓3、牡丹皮3、桂皮 1、附子1

出典

済生方

条文(書き下し)

「腎虚、腰重く、脚腫れ、小便不利するを治す。」

条文(現代語訳)

「腎虚で腰が重く、脚が腫れ、尿が出ないものを治す。」

解説

今回は、牛車腎気丸の処方解説になります。この処方は、一般的に強い咳に使われています。

それでは、まずは条文を見ていきます。

条文は短く「腎虚で、特に下半身の症状(腰が重だるい、足の浮腫み、尿が出ない)が出ているものを治す。」とあります。

元々、八味地黄丸(腎気丸)の派生処方となりますので、八味地黄丸の条文と比べてみます。

八味地黄丸の場合、

「脚気上り入り、少腹不仁なる証。」

「虚労、腰痛し、少腹拘急し、小便不利の証。」

「短気(呼吸促迫)して微飲(停水)ある証。」

「消渇、小便すること反つて多き証。」

の様に、牛車腎気丸より若干ですが上、全体的な症状が所見として表れてくるのが特徴となります。

次に、構成生薬を見ていきます。構成生薬は、それぞれ

補腎・固精:地黄、山茱萸

強壮:山薬

利水:沢瀉、茯苓、車前子

温裏:附子

気を巡らす:桂皮

駆瘀血:牡丹皮

筋骨を盛んにする・下焦を補う:牛膝

の様になります。構成生薬のうち、牛膝と車前子以外は八味地黄丸となります。ですので、基本的な効果は八味地黄丸と同じで補腎・駆瘀血・利水・温補通経になります。

只、八味地黄丸に加えて牛膝と車前子が入っており、これらが入るとその作用が下向きとなります。

構成生薬から見ても、条文と同じく牛車腎気丸は八味地黄丸よりは下焦中心の作用である事が解ります。

本処方の所見は、基本的には八味地黄丸と同じく腎虚になります。しかし、牛車腎気丸はその効果が下半身に重点的に出ます。

ですので、胃腸の強いガッシリでっぷりとしたサンタクロースのおじいちゃんの風貌の方で、腰が重い痛い、尿がで渋る等の症状がある方が合う処方となります。

歩行がゆっくり、腰から下が細くなっている、等の腎虚の所見も出てきますので、その辺りを注意する必要があります。

以上より、まとめますと牛車腎気丸は「八味地黄丸の補腎より効果範囲が下焦向きの処方で、腰部や泌尿器のトラブルに使用する処方。」と言えます。

本処方は、裏寒や脾虚がある場合は使用不可ですので、注意が必要です。

鑑別

牛車腎気丸と他処方との鑑別ですが、代表的なものに八味地黄丸、六味丸、大防風湯、四物湯、疎経活血湯があります。それぞれについて解説していきます。

八味地黄丸

牛車腎気丸と八味地黄丸は同じ腎虚と呼ばれる状態に使われる処方であり、鑑別対象となります。

上の解説の所でもお話しました通り、牛車腎気丸は八味地黄丸に牛膝と車前子を加えたものになります。ですので、基本的には八味地黄丸証の方に牛車腎気丸も使用します。

只、牛膝と車前子が入る事で、その効果は泌尿器や腰といった下半身に作用点が移動します。

その症状も、中上焦はそれほど出ずに下焦中心となります。微妙な判断になりますので、慎重にすべき鑑別です。

六味丸

牛車腎気丸と六味丸は同じ腎虚と呼ばれる状態に使われる処方であり、鑑別対象となります。

六味丸と牛車腎気丸の違いは、桂枝と附子の有無になります。つまり、六味丸は身体の冷えも気の上行もありません。

ですので、六味丸は顔色が赤く上気しているという事もありません。その辺りで鑑別が可能となります。

大防風湯

牛車腎気丸と大防風湯は同じ腎虚と呼ばれる状態に使われる処方であり、鑑別対象となります。

大防風湯は、一言で言ってしまうと「気血両補剤+補腎剤」の様な効果があります。

ですので、牛車腎気丸よりは体格が細く、胃の調子が悪い等の症状があってた場合に適応となる処方です。

対して、牛車腎気丸は脾胃の生薬は配されておりませんので、体格はがっしりでっぷりしているのが特徴です(例外はあります)。

その辺りで鑑別が可能となります。

四物湯

牛車腎気丸と四物湯は、共に地黄剤と呼ばれる処方であり、鑑別対象となります。

一般的に、牛車腎気丸や八味地黄丸等は「補腎剤」と呼ばれ、四物湯配合処方は「補血剤」と呼ばれています。

よく、地黄が入っているので同じ系列で話されがちな補腎剤と補血剤ですが、地黄以外の構成生薬は全く違いますので本来は別系統の薬として処理されないといけません。

補腎剤は、その名の通り補腎という目的の為の処方で、基本的には下半身や身体の中心部である髄を補う方向に働きます。

対して補血剤は、中焦上焦の組織(血液を含む)を補う処方となります。

ここまでで、これら2系統のグループの違いは、地黄の運用方法が髄を補うか血として全身を補うかという違いをお話しました。

もう一つ、決定的な違いを上げるとするならば、補腎剤は牡丹皮を使用しているのに対し、補血剤は当帰を使用しています。

これらは、血を瀉すか補うかという違いであり、牡丹皮は血毒を取り除きますので心に対しては瀉として働き、当帰は心に対して補に働きます。

ですので、その証は、補腎剤の方は心が実になっている為に明るく、逆に補血剤の場合は心虚になっている為、陰鬱な表情をしています。

以上の違いが、そのまま両者の鑑別ポイントとなります。

疎経活血湯

牛車腎気丸と疎経活血湯は、両処方共に腰痛や膝痛態に使われる処方であり、鑑別対象となります。

疎経活血湯というのは、その名の通り「経の疎通(通り)を良くして、血を活性化しましょう。」という処方です。

ですので、基本的には血を巡らす四物湯ベースの処方となり、それに湿熱の邪や風邪を除く生薬が多数配合されています。

例えば、無理な体制が続いて膝等に使い痛みが起こった場合、通りの悪くなった気血を通す処方として疎経活血湯が選ばれます。

ですので、痛みは左右どちらかであったり、痛みが強かったりします。牛車腎気丸の場合は、重だるい等の慢性的な痛みになりますので、その辺りで鑑別が可能となります。

お読み頂きありがとうございます。

ムセキ
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