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過去漢方資料(理論)

漢方の基礎(気血水)

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*ここでは、私が前に居た薬局を去る際、後任の薬剤師の為に書いた漢方の資料を多少加筆して掲載しています。稚拙な文章ですが、笑ってご容赦頂きますようお願い申し上げます。また、少しでもご参考にして頂ければ幸いです。

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万物は気で出来ている

ムセキ
広義には、全てを構成するものは気と言えます。

漢方では、人体を構成する成分として気血水を考えます。
血水は有形のものであり、何となくイメージしやすいのですが、気は無形のものであり、西洋医学では取り上げられない概念なので、イメージしにくいのではないでしょうか。
しかし、漢方医学では気を考えないと理解出来ない概念や病態が存在し、しかも、それに対応する方剤においても、気を考えない訳にはいきません。
万物は一気より生まれ出でた事(老子道徳経「道生一、一生二、二生三、三生萬物。」)を考えますと、気血水というものは本来同一のものであって、それが化生したものに過ぎないと言えます。これは、現代物理学で証明されており、アインシュタインの特殊相対性理論「E = mc2」として表されます。
「万物は気で出来ている」という言葉を使いますが、ここで言う「気」というものは、相対性理論から解る様に「エネルギー=物質」であると言えます。
また、気という文字は、元々炊いた米から上がる湯気の形象が元になっているので、氣と書くのが本来正しい漢字となります。

気の概念の拡張

ムセキ
気はエネルギーとしての気と、イメージとしての気があります。

「気=エネルギー=物質」という事ですが、「空気」「臭気」等で解る様に、目に見えない気体を指して「気」と用い、「電気」「磁気」等などのエネルギーを「気」として用いています。
しかし、実際はもっと広義の意味を「気」の一言に込めており、「雰囲気」「気分」等の様に精神状態を指して「気」を用いています。
また、有形の物体を指して「気」と表現する事はあまりありません。

ムセキ
全てを推動します。真っ先に異常が出てくるのも気です。

漢方医学で用いる「気」は、上記の気の概念より狭義なものとなり、「血水以外の(広義の)気」をさすと考えると都合が良いと思われます。
即ち、漢方医学で用いる「気」は、「温度」「動き」「精神」「臓器の活性度」「神経の流れ」等を統合した概念であると言えます。
また、「温度」を差す場合は「気」を用いずに「陽」「火」「熱」と言う場合も多いです。
気の異常状態は「気虚(気が足りない)」「気滞(気が動いていない)」「気逆(気が逆流している)」等と用いられます。
「陽」「火」「熱」の異常は「陽虚(冷え)」「肝熱(肝にストレスが溜まっている)」「虚火(陰(血水)の不足により熱が生じる)」等と用いられます。

ムセキ
「血は地なり。」と漢方の師匠に教えて頂きました。

西洋医学で言う「血液」のほぼそれに近いのですが、漢方医学で言う「血」は、「血液」だけではなく、「組織全般」を指す事が多いです。
血の異常状態は「瘀血(身体に対し毒となる血)」「血滞(血が動いていない)」等と用いられます。

ムセキ
漢方での理想状態は水の如し振る舞いを生体がしている事です。

「血以外の身体に存在する液体」や、腎の中に蓄えられている「腎精」を指します。
水の異常状態は「水毒(水の毒)」「水滞(水の滞り)」「痰飲(痰はネバネバした水、飲は漿液性の水)」等と用いられます。正常な水が虚すると、「陰虚」と表現される事もあります。

気血水の関わり

ムセキ
気>水>血の順で動きやすくなっています。

気血水は相互に関わりを持っており、それぞれの異常が他方の異常に繋がる事も多いです。例えば、瘀血がある場合にその原因が裏寒の存在である時、使う方剤は真武湯等を用います。
また、気の病は治しやすく、次に水の病が治しやすく、血の病は治しにくいとされています。
これは、気血水の流動性と一致し、気が一番動きやすく、次に水、最後に血となります。

以上です。少しでも参考になれば幸いです。以下より、他の漢方記事が検索できますので、宜しければご活用下さい。

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