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漢方薬の解りやすい説明

【漢方:18番】桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)の効果や副作用の解りやすい説明

更新日:

ポイント

この記事では、桂枝加朮附湯についての次の事が解ります。

・患者さんへの説明方法、副作用や注意点

・出典(条文)、生薬構成

・詳しい解説、他処方との鑑別

「名古屋漢方.com」のムセキです。

本記事は、桂枝加朮附湯の解説記事になります。

最初に患者さんへの説明例、その後に詳しい処方解説を載せています。日々の業務で使う資料としてご活用頂ければ幸いです。

ムセキ
よろしくお願いしますm(_ _)m

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<急ぎの方用>患者さんお客さんへの説明

ムセキ
私が普段行う説明を書いています。

一般的な説明

今日出ている薬は、桂枝加朮附湯と言います。

湿気が溜まりやすい体質の方で、関節痛等の痛みがある場合に使われる処方です。痛み等はありますか?

〇〇が痛いんですね。その痛みの原因が、先生は身体の湿気と冷えが原因と考えられたのかと思います。一度、飲んでみて下さい。

身体が冷えてきた、湿疹が出た、むくみ、血圧が上がった等の症状があればご一報頂ければと思います。

一日〇回△日出ておりますので、指示通りお飲みください。

漢方医等処方の場合

今日出ている薬は、桂枝加朮附湯と言います。

湿気が溜まりやすい体質の方で、関節痛等の痛みがある場合に使われる処方ですが、その他の色々な痛みや痺れ、引きつりにも使います。痛み等はありますか?

〇〇が痛いんですね。この桂枝加朮附湯というお薬は、その部分の湿気を取りながら、温めて循環を良くして痛みを治すというお薬になります。

身体が冷えてきた、湿疹が出た、むくみ、血圧が上がった等の症状があればご一報頂ければと思います。

一日〇回△日出ておりますので、指示通りお飲みください。

主な注意点、副作用等

アナフィラキシー

肝機能異常(AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP等の上昇)

冷え(裏寒)

心悸亢進、のぼせ、舌のしびれ、悪心

添付文書(ツムラ18番)

ツムラ桂枝加朮附湯(外部リンク)

ムセキ
ここから下はゆっくりと読んで頂ければと思いますm(_ _)m

桂枝加朮附湯についての漢方医学的説明

ムセキ
専門家向けの内容です。

生薬構成

桂枝4、芍薬4、蒼朮4、大棗4、甘草2、生姜1、附子0.5

出典

方機

条文(書き下し)

「湿家で骨節疼痛するもの、あるいは半身不遂(はんしんふつい)、口眼喎斜(こうがんかしゃ:)するもの、あるいは頭疼み重きもの、あるいは身体が麻痺するもの、あるいは頭痛激しきものは、桂枝加朮附湯の主治である」

条文(現代語訳)

「普段から湿気が溜まりやすい者で、関節が痛いもの、あるいは半身不随、口眼喎斜(顔面麻痺、口や目が左右どちらかに偏るもの)するもの、あるいは頭が重いもの、あるいは身体が麻痺するもの、あるいは頭痛激しきものは、桂枝加朮附湯で治ります。」

解説

桂枝加朮附湯は一見、傷寒論や金匱要略の出典に見える処方ですが、吉益東洞先生の創方です。

桂枝加附子湯に蒼朮を足しただけの処方ですが、珍しくそれまでには創方されず、江戸時代までは無かった処方になります。

蒼朮と附子で関節の痛みを去るとされている処方ですが、どのように痛みを取り去るかまでは、解説されたものはあまり見かけません。

ですので、いつものように、条文と生薬構成から解析していきたいと思います。

まず、条文を見てみます。

本処方について、東洞先生は「湿邪が溜まりやすい者で、関節痛、半身不随、顔面神経異常、頭重、麻痺、酷い頭痛等の症状のある者。」に用いていたようです。

これらの症状の前提が「湿邪が溜まりやすい者」であり、クローズアップされるのは蒼朮です。

この蒼朮は、白朮と比べて湿邪を除く効が強く、全身の肌肉部の水抜きをするには最適であると思われます。

しかし、この処方の痛み止めの本体は蒼朮ではありません。

基本的に、本処方は桂枝加附子湯であるので、桂枝湯証が無いといけない、という事になります。

その点から考えますと、本処方の痛み止めの効の本体は桂枝と附子です。この二つの生薬が、表裏を温め、経を流す為に痛みが改善されます。

ですので、「桂枝加朮附湯は関節痛の薬。」と認識していると証を間違える原因になりますので注意が必要となります。

桂枝湯証であり、全身の湿邪・水毒による痛みがある場合、幅広く適応出来る処方と言えます。

本処方に、東洞先生が白朮ではなく蒼朮を用いたという所に、漢方家としての意地を感じます。

鑑別

桂枝加朮附湯と他処方との鑑別ですが、ポイントは「桂枝湯証があるかどうか?」が非常に大きいです。

つまり、身体の表面が冷えている、皮膚が発汗してしっとりしている、寒気がある、顔の頬が桜色に逆上せている等の確認が必要になります。

関節痛をはじめとした痛みの薬は種々ありますが、虚実それぞれの代表的な処方である越婢加朮湯、大防風湯との鑑別を例に出して書きます。

越婢加朮湯との鑑別

越婢加朮湯との鑑別ですが、越婢加朮湯は、構成生薬中に石膏、麻黄が配されています。ですので、裏の熱、オシッコが出ない等がポイントになります。

また、桂枝加朮附湯よりも炎症の度合いがキツく、表証(桂枝湯証)が無いのが特徴です(それより熱の強い陽明病の状態で、真っ赤な顔で熱実所見です)。

参考記事
【漢方:28番】越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)の効果や副作用の解りやすい説明

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大防風湯

大防風湯は、処方構成を見ますと気血両補剤+補腎剤のようになっています。桂枝湯証のような所見が無く、逆上せが無いのが特徴です。

栄養不良で皮膚の色艶が悪く、食欲はありますが、脾胃の状態があと一歩、という方の慢性の関節痛筋肉痛等に使われます。痛みの程度も急激ではなく、鈍い痛みが長く続いている状態です。

どのような処方でもそうですが、患者さんの訴える症状を治療者側も重きにおきがちです。

しかし、その他の所見に答えが隠れている事も多いですので、全身の状態を良くする、という視点で証決定をする必要があります。

これは、私自身を含め、漢方家が必ず肝に銘じないといけない事になります。

お読み頂きありがとうございます。

ムセキ
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以上です。少しでも参考になれば幸いです。以下より、他の漢方記事が検索できますので、宜しければご活用下さい。

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