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漢方薬の解りやすい説明

【漢方:EK401番】甘草湯(かんぞうとう)の効果や副作用の解りやすい説明

投稿日:

甘草湯

甘草湯

ポイント

この記事では、甘草湯についての次の事が解ります。

・患者さんへの説明方法、副作用や注意点

・出典(条文)、生薬構成

・詳しい解説、他処方との鑑別

「名古屋漢方」のムセキです。

本記事は、甘草湯についての解説記事になります。

最初に患者さんへの説明例、その後に詳しい処方解説を載せています。日々の業務で使う資料として、ご活用頂ければ幸いです。

ムセキ
よろしくお願いしますm(_ _)m

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<急ぎの方用>患者さんお客さんへの説明

ムセキ
私が普段行う説明を書いています。

一般的な説明

今日は、甘草湯という漢方薬が出ています。このお薬は、風邪をひいて喉が痛い場合によく使われるお薬です。

今日はどのような症状で受診されましたか?

○○という症状ですね。

お困りの症状に、先生はこれが良いと考えられたようです。このお薬は、口に少しずつ含んでゆっくりと飲み込む事で、喉の炎症を和らげてくれます。

一度、試してみてください。

身体が浮腫んだり、血圧が上がってきたりした場合はすぐにご連絡下さい。

漢方医処方の場合の説明

今日は、甘草湯という漢方薬が出ています。このお薬は、風邪をひいて喉が痛い場合によく使われるお薬です。

喉だけではなく、身体全体がだるい、という様な風邪の症状も改善してくれます。

今日はどのような症状で受診されましたか?

○○という症状ですね。

お困りの症状に、先生はこれが良いと考えられたようです。このお薬は、口に少しずつ含んでゆっくりと飲み込む事で、喉の炎症を和らげてくれます。

甘草という成分には炎症止めの作用がありますので、その効果を期待しているというお薬になります。一度、試してみてください。

身体が浮腫んだり、血圧が上がってきたりした場合はすぐにご連絡下さい。

主な注意点、副作用等

偽アルドステロン症

添付文書(EK401番)

クラシエ甘草湯(外部リンク)

ムセキ
ここから下はゆっくりと読んで頂ければと思いますm(_ _)m

甘草湯についての漢方医学的説明

ムセキ
専門家向けの内容です。

生薬構成

甘草6

出典

傷寒論

条文(書き下し)

「少陰病、二三日咽痛の者、甘草湯を与う。」

条文(現代語訳)

「少陰病で、2,3日喉が痛いものは甘草湯を与えると良い。」

解説

今回は、甘草湯の処方解説になります。この処方は、一般的に咽の痛みよく使われています。

それでは、まずは条文を見ていきます。条文は、要約しますと「少陰病で、2,3日喉が痛いものは甘草湯を与えると良い。」という事です。

ポイントは「少陰病」という部分ですね。この一言で、ほぼ全てが決まってしまっています。

少陰病というのは、身体の内部が冷えている「裏寒」の状態を指します。また、少陰病という事は、身体の内部にあるのが寒の邪であるという事を示しています。

風寒というのは、秋冬に多い風邪の邪気で、冷えを伴う事が多いのが特徴です。

その冷えに身体の内部が侵されてしまっているのが少陰病という病態という訳です。

その状態になりますと、手首足首などの骨が出ている部分が冷え、また、身体の中心線を中心に青くなってきます。また、身体のだるさも感じるようになります。

次に、構成生薬を見ていきます。構成生薬は一味で、

抗炎症、気を上げる:甘草

のみとなります。ここで使われる甘草は、炙甘草ではなく生甘草になります。また、使用量が多いので、「たかが一味」と侮れない処方となっております。

甘草は抗炎症作用がありますので、甘草湯をゆっくりと飲み込んでいく事で喉の炎症を和らげていこうという使い方になります。

また、全身作用もあり、全体的に気を上げて元気を出す効果もあります。それと同時に、体液貯留作用がありますので邪気を緩和させようという働きもあります。

軽いステロイド様作用とも言い換えても良いでしょう。病邪は少陰ですがまだ喉だけになりますので、これ以上悪化しないように防衛線を張る意味もあります。

以上まとめますと、甘草湯は「風邪をひいて2,3日経ち、身体の内部、特に喉に風寒の邪が入り込んでいる場合で、身体の内部が冷え始めている状態で喉が痛いもの。口の中に含んで少しずつ飲む処方。」となります。

本処方は、甘草の量が多いので、くれぐれも偽アルドステロン症に注意して使用する様にしましょう。浮腫みや血圧上昇が見られます。

鑑別

甘草湯と他処方との鑑別ですが、代表的なものに桔梗湯、排膿散及湯、半夏厚朴湯、銀翹散(ぎんぎょうさん)があります。それぞれについて解説していきます。

桔梗湯

甘草湯と桔梗湯は桔梗の有無のみの差であり、同様に喉の炎症等に使用しますので、鑑別対象となります。

桔梗湯は、その処方名の通り桔梗が配されているのが特徴です。排膿排毒の効能がある生薬になります。

喉風邪をひいた場合、最初は喉の痛みがメインだと思います。ですが、その後黄色い鼻水が出る事がありますよね。

痛みと鼻水が両方ある場合、桔梗湯が良い事が多いです。逆に喉の炎症や痛みが酷い場合で、鼻水や痰が出てない様でしたら甘草湯をファーストチョイスで用いれば良いでしょう。

参考記事
桔梗湯
【漢方:138番】桔梗湯(ききょうとう)の効果や副作用の解りやすい説明

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排膿散及湯

甘草湯と排膿散及湯は、喉の炎症等に使用しますので鑑別対象となります。

排膿散及湯は、その処方名の通り、排膿させることが目的となります。通常は皮膚のできもの等に使う場合が多いのですが、耳鼻科領域でも排膿を目的として使う場合もあります。

甘草は3gとそれほど多くなく、甘草湯と違い炙甘草を使用しますので、抗炎症効果は甘草湯程は無いのが特徴です。

ですので、喉の炎症や痛みは少なく、痰や鼻汁が多い場合に使用の場があります。甘草湯の場合、逆に炎症や痛みが酷く痰や鼻汁は少ないので、そこが鑑別ポイントになります。

参考記事
排膿散及湯
【漢方:122番】排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)の効果や副作用の解りやすい説明

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半夏厚朴湯

甘草湯と半夏厚朴湯は、どちらも喉の痛み等に使用しますので鑑別対象となります。

半夏厚朴湯は、ストレス等で食べ過ぎ状態とな胃が詰まって、それが原因でイガイガしてくる場合に使用します。

一般的にはヒステリーボールと言います。厚朴が合う方は、人の話を聞かずに自分の言いたい事を話をかぶせて言ってくるのが特徴です。

甘草湯にはその様な所見は無く、身体が冷えて来ますので、そこが鑑別ポイントとなります。

参考記事
【漢方:16番】半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)の効果や副作用の解りやすい説明

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銀翹散

甘草湯と銀翹散(ぎんぎょうさん)は、喉の炎症等に使用しますので鑑別対象となります。

銀翹散は医療用医薬品では無く一般用医薬品にしかありません。しかし、同じ喉の痛みの風邪薬になりますので取り上げました。

銀翹散は、温邪と呼ばれる春夏に多い感染症等の邪気で起こる風邪に用います。

秋冬に多い傷寒と違い、邪の性質が温性であり、また、身体の潤いを奪うものとされています。

その為、銀翹散証というのは身体に冷えが無く、身体全体に熱症状が強く出てきます。

甘草湯は条文に「少陰病」という語句が入る通り、身体内部に風寒の邪が入り込みますので、身体の中心線や手首足首を中心に冷えを伴うのが特徴です。

その辺りで鑑別が可能となります。

お読み頂きありがとうございます。

ムセキ
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以上です。少しでも参考になれば幸いです。以下より、他の漢方記事が検索できますので、宜しければご活用下さい。

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