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漢方薬の解りやすい説明

【漢方:40番】猪苓湯(ちょれいとう)の効果や副作用の解りやすい説明

更新日:

ポイント

この記事では、猪苓湯についての次の事が解ります。

・患者さんへの説明方法、副作用や注意点

・出典(条文)、生薬構成

・詳しい解説、他処方との鑑別

「名古屋漢方.com」のムセキです。

本記事は、猪苓湯についての解説記事になります。

最初に患者さんへの説明例、その後に詳しい処方解説を載せています。日々の業務で使う資料として、ご活用頂ければ幸いです。

ムセキ
よろしくお願いしますm(_ _)m

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<急ぎの方用>患者さんお客さんへの説明

ムセキ
私が普段行う説明を書いています。

一般的な説明

今日は、猪苓湯という漢方薬が出ています。

一般的には、膀胱炎のお薬として有名です。尿量を多くして、膀胱炎の原因菌を流し去るというお薬になります。そのような症状はありますか?

(患者さんの返答に関わらず)〇〇という症状に、これが良いと先生は思われたようですので、一度お試し下さい。

漢方医処方の場合の説明

今日は、猪苓湯という漢方薬が出ています。

一般的には、膀胱炎のお薬として有名です。尿量を多くして、膀胱炎の原因菌を流し去るというお薬になります。

ですが、昔の使い方はそれだけではなく、下痢が続いてたり、夜に落ち着かずに眠れない、それに伴ってオシッコが出にくい等にも使われていました。

そのような症状はありますか?

(患者さんの返答に関わらず)〇〇という症状に、これが良いと先生は思われたようですので、一度お試し下さい。

主な注意点、副作用等

アナフィラキシー

発疹、発赤、そう痒等

食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、腹痛、下痢等

冷え

添付文書(ツムラ40番)

ツムラ猪苓湯(外部リンク)

ムセキ
ここから下はゆっくりと読んで頂ければと思いますm(_ _)m

猪苓湯についての漢方医学的説明

ムセキ
専門家向けの内容です。

生薬構成

猪苓3、茯苓3、沢瀉3、滑石3、阿膠3

出典

傷寒論、金匱要略

条文(書き下し)

「脈浮に、発熱し、渇して水を飲まんと欲し、小便不利の証。」

「少陰病、下痢する事六七日、欬(がい)して嘔し、心煩(しんぱん)して眠る事を得ざる証。」

条文(現代語訳)

「脈が浮いて、発熱し、喉が渇いて水を飲みたがり、小便が出ないもの。」

「少陰病で、一週間位下痢が続き、咳が出て嘔気(はきけ)があり、心が煩わしい感じで落ち着かずに眠れないもの。」

解説

猪苓湯は、一般的に膀胱炎の薬として有名です。しかし、条文や生薬構成を見てみますと、どうやらちょっと事情が違うようです。

まず、条文を見ていきます。条文は「脈浮、発熱、喉の渇き、水を飲みたがる、小便が出ない、下痢、咳、嘔気(はきけ)、心が落ち着かない、不眠」等が書かれており、必ずしも膀胱炎という訳ではありません。

どちらかと言いますと、発熱、咳や吐き気、水を飲みたがる、小便が出ない、落ち着かない、不眠などの症状がメインとなっています。

次に、生薬構成を見ていきます。

生薬は、猪苓、茯苓、沢瀉、滑石、阿膠の5つになります。このうち、利水が猪苓・茯苓・沢瀉・滑石、九竅(きゅうきゅう:気血水の通り道、穴)を通すものが滑石、熱を除くものが滑石・阿膠です。

この中で、滑石は九竅を通して身体の湿熱を除く、という特殊な働きを持ち、阿膠は血の流れを円滑にする事で、滑石の作用を補助しています。

その他にも、阿膠はこの作用で心の熱を肺から気化熱として排出する効もあり、結果、心熱が取れ、気の流れが復活し、全身が利水されるという事になります。

条文でありますように下痢と心煩が同時に起こりますので、上焦の熱厥(ねっけつ:上半身に熱が詰まって起こる病)による上熱下寒を治す方剤でもあると言えます(ここが陽明病でもあり少陰病でもある理由)。

また、咳や嘔気は胃内に水の邪がある事を示しています。

まとめますと、猪苓湯は「下痢があり、咳や吐き気があり、不眠があり、尿が出にくい等の症状がある、熱厥による上熱下寒を伴う水毒を治す証。」と言えます。

鑑別

猪苓湯は、解説の通り陽明病の薬でもあり、少陰病の処方でもあります。

ですので、対照的な処方である白虎加人参湯と温裏剤(真武湯や四逆湯類)が鑑別処方となります。

白虎加人参湯

白虎加人参湯と猪苓湯は、その症状が似ています。喉が渇いて水を飲みたがる、身体に熱が籠もる、等です。

ですが、白虎加人参湯は身体の水分バランスの是正が主であるのに対して、猪苓湯は湿熱を除くという部分で違いが出てきます。

症状で言いますと、白虎加人参湯証には下痢や尿が出にくい等の症状が無く、猪苓湯にはその症状があるという所で鑑別します。

参考記事
【漢方:34番】白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)の効果や副作用の解りやすい説明

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温裏剤(真武湯や四逆湯類)

猪苓湯と温裏剤は原因が真逆(前者は熱厥、後者は裏寒)になりますが、似た様な上熱下寒の状態になります。

猪苓湯の場合は、身体の中心が熱い為、壇中(だんちゅう:胸の中心)が触ると熱い、顔の中心が熱い、関節が熱い、手首足首が熱い等の熱所見があります。

逆に、温裏剤の場合は、その逆で壇中冷、、四肢の冷え、手首足首の冷え、関節の冷え、顔の中心が青黒い(又は青白い)等の中心部の冷えの所見が目立ちます。

その辺りで鑑別が可能になります。

参考記事
【漢方:32番】人参湯(にんじんとう)の効果や副作用の解りやすい説明

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ムセキ
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