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麦門冬処方解説

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麦門冬処方の特徴

ムセキ
肺の補陰の薬ですが、補陰の結果、燥熱が治まります。

麦門冬を使用した処方(以下、麦門冬処方)は、それが入っていない処方には存在しない特徴的な効能があり、それらを一つの処方グループとして見る事が出来ます。

その特徴的な効能とは、「肺陰虚を去り、心肺の熱燥を治す」「心を強める」事です。

麦門冬処方を必要とする心肺の熱燥が起きると、「喉の渇き」「乾いた咳」「胸~頭部の熱感」「皮膚の乾燥」「顔面紅潮」「頭がボーッとする」等の症状が出てきます。

横隔膜より上(上焦)に熱状が集中するのが特徴になります。そして、その熱を解消しようとして冷飲冷食をしてしまい、夏ばてを悪化させてしまう事になりやすいと言えます。

麦門冬処方が適応となりやすい季節は梅雨明け~初秋となり、一年のうちで最も暑い時期です。夏は空気に熱を帯び空気が乾燥し、その燥熱が心肺を冒しやすくなります。

その中で、立秋までは熱が主体となり、それ以後から秋分前後までは乾燥が主体となり生体を侵します。

肺の機能は、血液に乗って心から運ばれた余分な熱を肺胞にて気化熱にて対外に排出する事ですが、肺燥になりますと、気化熱による熱排出に滞りが起こり、二次的に心熱が溜まってきます。

麦門冬処方は、その治療剤と言えます。

麦門冬処方の種類

ムセキ
虚から実まで、さまざまな方剤に麦門冬は含まれています。

真武湯生脈散、麦門冬湯、炙甘草湯、清心蓮子飲、味麦地黄丸、天王補心丸、温経湯、滋陰至宝湯、滋陰降火湯、清肺湯、辛夷清肺湯、竹筎温胆湯、清暑益気湯、柏子養心丸等

麦門冬処方解説

ムセキ
虚から実へ、様々な病態において燥熱は発生します。

真武湯生脈散

構成生薬:麦門冬、紅参、五味子、附子、茯苓、白朮、芍薬、生姜

麦門冬・・・肺の陰を補う事で、心肺の熱燥を去る

紅参・・・脾胃の補気を行い、五臓を養う

五味子・・・肺気を收めて守り、養う

附子・・・腎を温補し、身体の新陳代謝を高める

茯苓・・・体内の水を巡らせ、利水する

白朮・・・脾胃の湿を取り、脾を健やかにし益気する

芍薬・・・肝陰を補い、裏を和らげる。温補し過ぎるのを防ぎ、水を逐う

生姜・・・脾胃の補気を行う

*裏寒の基本薬の真武湯と、心肺の熱燥を收めて機能回復させる生脈散を合方したものです。真武湯証に不整脈、心不全、空咳、声枯れ、胸部の熱等、麦門冬の場があるものが目安となります。

麦門冬湯

構成生薬:麦門冬、半夏、人参、大棗、甘草、粳米

麦門冬・・・肺の陰を補う事で、心肺の熱燥を去る

半夏・・・脾胃の痰を去り、気を落とす

人参・・・脾胃の補気を行う

大棗・・・脾胃を補う事で肺氣を補い、陰陽を和す

甘草・・・脾胃を補い、諸薬を調和し、急迫を緩和する

粳米・・・脾胃を補い、温め、五臓を養う

*四君子湯のような脾胃の気虚と胃の詰まりが存在する、肺陰虚の者に使用します。肌肉が痩せていて色が白く、声に力が無い、喉の乾き、空咳等が目安となります。熱症状はそれ程ありません。

炙甘草湯

構成生薬:地黄、麦門冬、桂枝、大棗、人参、麻子仁、生姜、炙甘草、阿膠

地黄・・・血を補い、血熱を冷ます

麦門冬・・・肺の陰を補う事で、心肺の熱燥を去る

桂枝・・・経を巡らす

大棗・・・脾胃を補う事で肺氣を補い、陰陽を和す

人参・・・脾胃の補気を行う

麻子仁・・・大腸を潤し、気を下げる

生姜・・・脾胃を温め、気を発散させる

炙甘草・・・脾胃を補い、諸薬を調和し、急迫を緩和する

阿膠・・・血の流動性を高めて混和させる

*心肺の熱燥があり、気血両虚が存在する者に使用します。体つきは比較的がっちりとし、胸~顔がほんのり赤く、動悸があり、舌や喉の渇き、空咳、のぼせ症状や便秘等が目安となります。立秋から秋分前後までよく使用される処方です。

清暑益気湯

構成生薬:蒼朮、人参、麦門冬、黄耆、陳皮、当帰、黄柏、甘草、五味子

蒼朮・・・脾胃の湿を去る

人参・・・脾胃の補気を行う

麦門冬・・・肺の陰を補う事で、心肺の熱燥を去る

黄耆・・・脾から気を肺に導き、肺気を高めて表の水を逐い、皮膚粘膜を修復する

陳皮・・・脾胃の気を動かし、巡らす

当帰・・・血を温め心血を養う

黄柏・・・腎膀胱の熱を去り、結果、肺気を下に導く。脾胃の熱を下す

甘草・・・脾胃を補い、諸薬を調和し、急迫を緩和する

五味子・・・肺気を收めて守り、養う

*処方中に生脈散を含み、肺の熱燥を去ります。また、脾胃の熱を下し、脾胃を動かして肺に益気させます。心血を補い、心熱を和らげます。大暑~立秋にかけてよく使用する処方です。また、春先に日差しが強い場合に、身体に熱を持つことがあり、そのようなものにも使用します。

清心蓮子飲

構成生薬:麦門冬、茯苓、蓮肉、黄芩、車前子、人参、黄耆、地骨皮、甘草

麦門冬・・・肺の陰を補う事で、心肺の熱燥を去る

茯苓・・・体内の水を巡らせ、利水する

蓮肉・・・中焦を補い、神を養い、気力を益す。心腎を交わせ、腸胃を厚くし、精気を固くし、寒湿または湿熱を除く

黄芩・・・肺熱を去り、気を下す

車前子・・・水道を通じ、腎陰を補う

人参・・・脾胃の補気を行う

黄耆・・・脾から気を肺に導き、肺気を高めて表の水を逐い、皮膚粘膜を修復する

地骨皮・・・肝腎の虚熱を去って肺中の伏火を下す

甘草・・・脾胃を補い、諸薬を調和し、急迫を緩和する

*心肺に熱が篭り、心気肺気が虚し、かつ腎虚による虚熱があることで心腎交らず、尿が出しぶるものに使用する。腎虚の者の夏ばて処方としてよく用いられる

味麦地黄丸

構成生薬:地黄、茯苓、沢瀉、山茱萸、山薬、牡丹皮、麦門冬、五味子

地黄・・・血を補い、血熱を冷ます

茯苓・・・体内の水を巡らせ、利水する

沢瀉・・・腎臓、膀胱に入って、水道を通じ、三焦に停滞した水を逐う

山茱萸・・・陽を補い、精血を助け、性を滑らかにして、妄りに泄さないようにする

山薬・・・肺及び脾胃の気液を補い、また、腎の精気伴に助ける

牡丹皮・・・瘀血を消し、血熱を涼し、血気を巡らせる

麦門冬・・・肺の陰を補う事で、心肺の熱燥を去る

五味子・・・肺気を收めて守り、養う

*六味丸に麦門冬と五味子が入ったものです。腎虚があり、上焦に燥熱があり心肺の働きが鈍っているものに使用します。症状としては、声枯れ、咳等が出てきます。

天王補心丸

構成生薬:地黄、当帰、麦門冬、遠志、桔梗、茯苓、酸棗仁、天門冬、柏子仁、丹参、党参

地黄・・・血を補い、血熱を冷ます

当帰・・・血を温め心血を養う

麦門冬・・・肺の陰を補う事で、心肺の熱燥を去る

遠志・・・腎の水中の気を強め、これを上達させる。下気を固くし、心腎の気を交通させ、健忘、驚悸を治す

桔梗・・・気を升らせて肺分に至らせ、結果、一切の気を下降させる。諸薬の気を上行させる。

茯苓・・・体内の水を巡らせ、利水する

酸棗仁・・・肝胆の気血を補す。胆の熱による不眠には生のまま用い、胆の虚寒による冷えは炒って用いる

天門冬・・・肺熱を冷まし清くする。腎熱を除き、陰虚上熱燥痰を治す

柏子仁・・・心神肝気を休め、腎の渇きを潤し、魂魄を安んじ、智志を益し、驚悸恍惚を治す

丹参・・・瘀血を破り、新血を養う。胎を安んずる

党参・・・脾肺を補い補気益気する

*腎が虚して動揺し、心肺に熱燥があり神経不安を生じたものに使用します。心腎を通じて心の浮つきを去ります。

温経湯

構成生薬:麦門冬、半夏、当帰、甘草、桂皮、芍薬、川きゅう、人参、牡丹皮、呉茱萸、生姜、阿膠

麦門冬・・・肺の陰を補う事で、心肺の熱燥を去る

半夏・・・脾胃の痰を去り、気を落とす

当帰・・・血を温め心血を養う

甘草・・・脾胃を補い、諸薬を調和し、急迫を緩和する

桂皮・・・表を補い経を巡らす

芍薬・・・肝陰を補い、裏を和らげる。温補し過ぎるのを防ぎ、水を逐う

川芎・・・血を走り散らす

人参・・・脾胃の補気を行う

牡丹皮・・・瘀血を消し、血熱を涼し、血気を巡らせる

呉茱萸・・・脾胃を温めて湿を去り、気を下す

生姜・・・脾胃を温め、気を発散させる

阿膠・・・血を和(混和)し、滋陰する

*下腹部に瘀血があり、肺が乾き、経が冷えて気血が巡らず上盛下虚のものに使用します。「虚証の桂枝茯苓丸」と言えます。桂枝ののぼせ、手荒れ、唇の荒れ、ずんぐりむっくりした体つきが特徴になります。

百合固金湯

構成生薬:百合、当帰、地黄、芍薬、貝母、玄参、桔梗、甘草、麦門冬

百合・・・心腹を利し、嗽を止め、二便を通じる。心胆を安んじ、気逆を下す。

当帰・・・血を温め心血を養う

地黄・・・血を補い、血熱を冷ます

芍薬・・・肝陰を補い、裏を和らげる。温補し過ぎるのを防ぎ、水を逐う

貝母・・・肺熱を清める。

玄参・・・下焦の無根の相火逆上して、肺に巡るものに、これを下ろし、これを冷やす。

桔梗・・・気を升らせ肺分に至らせ、結果、一切の気を下降させる。諸薬の気を上行させる。

甘草・・・脾胃を補い、諸薬を調和し、急迫を緩和する

麦門冬・・・肺の陰を補う事で、心肺の熱燥を去る

*肺の結熱を去り、気を下す処方になります。強い熱燥が上焦に結している為、咽頭痛や喘咳、血痰を生じているものに使用します。

滋陰至宝湯

構成生薬:当帰、芍薬、蒼朮、白朮、茯苓、陳皮、柴胡、知母、香附子、地骨皮、麦門冬、貝母、薄荷、甘草

当帰・・・血を温め心血を養う

芍薬・・・肝陰を補い、裏を和らげる。温補し過ぎるのを防ぎ、水を逐う

蒼朮・・・脾胃の湿を去る

白朮・・・脾胃の湿を去り、脾胃を健やかにし益気する

茯苓・・・体内の水を巡らせ、利水する

陳皮・・・脾胃の気を動かし、巡らす

柴胡・・・肝熱を去り、毒を和す事で気の巡りを改善させる

知母・・・命門の相火の有余を治し、肺火を瀉す

香附子・・・気分の爵を散行する

地骨皮・・・肝腎の虚熱を去って肺中の伏火を下す

麦門冬・・・肺の陰を補う事で、心肺の熱燥を去る

貝母・・・肺熱を清める

薄荷・・・頭目を清くして風熱を除く、汗を発して暴寒を去る

甘草・・・脾胃を補い、諸薬を調和し、急迫を緩和する

*加味逍遥散の加減方です。柴胡証で気鬱、イライラが存在する所に、心肺の熱燥が加わったものに使用します。牡丹皮が入っていないので、瘀血の存在は無いか、軽微です。その代わり、腎熱に基づく上焦の熱証が強くなります。

滋陰降火湯

構成生薬:蒼朮、当帰、麦門冬、芍薬、陳皮、甘草、知母、黄柏、天門冬、地黄

蒼朮・・・脾胃の湿を去る

当帰・・・血を温め心血を養う

麦門冬・・・肺の陰を補う事で、心肺の熱燥を去る

芍薬・・・肝陰を補い、裏を和らげる。温補し過ぎるのを防ぎ、水を逐う

陳皮・・・脾胃の気を動かし、巡らす

甘草・・・脾胃を補い、諸薬を調和し、急迫を緩和する

知母・・・命門の相火の有余を治し、肺火を瀉す

黄柏・・・腎膀胱の熱を去り、結果、肺気を下に導く。脾胃の熱を下す

天門冬・・・肺熱を冷まし清くする。腎熱を除き、陰虚上熱燥痰を治す

地黄・・・血を補い、血熱を冷ます

*腎陰虚による腎熱と、それに伴う心肺の熱を去ります。清心蓮子飲と比べて血虚が酷いが、小便不利は軽微です。

清肺湯

構成生薬:当帰、麦門冬、茯苓、黄芩、桔梗、杏仁、山梔子、桑白皮、大棗、陳皮、天門冬、貝母、甘草、五味子、生姜、竹筎

当帰・・・血を温め心血を養う

麦門冬・・・肺の陰を補う事で、心肺の熱燥を去る

茯苓・・・体内の水を巡らせ、利水する

黄芩・・・肺熱を去り、気を下す

桔梗・・・気を升らせて肺分に至らせ、結果、一切の気を下降させる。諸薬の気を上行させる

杏仁・・・肺を潤し温め、気を下降させ、肺の結気を散らす

山梔子・・・肺熱、心熱、胃熱を除く。経絡の熱、大腸、小腸の曲屈した熱を去る(奥深くまで浸透する)

桑白皮・・・肺熱を瀉し、肺中の熱痰を消し、肺中の水気を逐い、気を下す

大棗・・・脾胃を補う事で肺氣を補い、陰陽を和す

陳皮・・・脾胃の気を動かし、巡らす

天門冬・・・肺熱を冷まし清くする。腎熱を除き、陰虚上熱燥痰を治す

貝母・・・肺熱を清める

甘草・・・脾胃を補い、諸薬を調和し、急迫を緩和する

五味子・・・肺気を收めて守り、養う

生姜・・・脾胃を温め、気を発散させる

竹筎・・・胃の爵熱を取る。また、胆経の熱の偏在(上部の熱)を下降させる

*胃や胆経が詰まり、心肺に熱燥があることで上焦に熱邪が篭って降りないものに使用します。熱邪を下す為に、脾胃の力をつけて肺気を高める工夫もされている処方です。名前の通り、肺の強力な熱(実熱虚熱共に)を下します。

辛夷清肺湯

構成生薬:石膏、麦門冬、黄芩、山梔子、知母、百合、辛夷、枇杷葉、升麻

石膏・・・陽明胃経が通じなくて、上焦の頭部に陽気が欝滞したものを冷まして落とす

麦門冬・・・肺の陰を補う事で、心肺の熱燥を去る

黄芩・・・肺熱を去り、気を下す

山梔子・・・肺熱、心熱、胃熱を除く。経絡の熱、大腸、小腸の曲屈した熱を去る(奥深くまで浸透する)

知母・・・命門の相火の有余を治し、肺火を瀉す

百合・・・心腹を利し、嗽を止め、二便を通じる。心胆を安んじ、気逆を下す

辛夷・・・胃の清陽を助け、肺気を助け、窮を開く

枇杷葉・・・肺胃の熱を除いて逆気を下す

升麻・・・陽明大腸経を通じ、下焦の気を上昇させ、浮かんで皮膚に達し、頭面の風を去り、熱を除き、毒を逐う

*肺に熱が篭って気が下がらないが、脾胃、肺気が弱っていないものに使用します。肺熱が強いため、手がとても熱くなります。

竹筎温胆湯

構成生薬:竹筎、半夏、枳実、麦門冬、桔梗、陳皮、柴胡、黄連、人参、香附子、茯苓、生姜、甘草

竹筎・・・胃の爵熱を取る。また、胆経の熱の偏在(上部の熱)を下降させる

半夏・・・脾胃の痰を去り、気を落とす

枳実・・・腸胃の気、血、痰、熱、食、水などの一切の積結堅滞を破る

麦門冬・・・肺の陰を補う事で、心肺の熱燥を去る

桔梗・・・気を升らせて肺分に至らせ、結果、一切の気を下降させる。諸薬の気を上行させる。

陳皮・・・脾胃の気を動かし、巡らす

柴胡・・・肝熱を去り、毒を和す事で気の巡りを改善させる

黄連・・・上焦心火の熱を瀉し、更に、中焦の脾胃の熱をも冷ます

人参・・・脾胃の補気を行う

香附子・・・気分の爵を散行する

茯苓・・・体内の水を巡らせ、利水する

生姜・・・脾胃を温め、気を発散させる

甘草・・・脾胃を補い、諸薬を調和し、急迫を緩和する

*胸脇部に詰まり(柴胡証)があり、腸胃に痰飲が存在して詰まり、心熱肺熱があり、気分が鬱屈して胸苦しいものに使用します。決断の腑に異常があるので、物事を決める事が難しくなり、ああでもない、こうでもないと悩みます。

釣藤散

構成生薬:石膏、釣藤鈎、陳皮、麦門冬、半夏、茯苓、菊花、人参、防風、甘草、生姜

石膏・・・陽明胃経が通じなくて、上焦の頭部に陽気が欝滞したものを冷まして落とす

釣藤鈎・・・熄風解痙。肝風を平らげ、心熱を除く。肝熱陽亢による高血圧に用いる。

陳皮・・・脾胃の気を動かし、巡らす

麦門冬・・・肺の陰を補う事で、心肺の熱燥を去る

半夏・・・脾胃の痰を去り、気を落とす

茯苓・・・体内の水を巡らせ、利水する

菊花・・・水を補い、陰を助け、火を制し、金を補ひ、木を制する。陰を補い上盛下虚を改善する事で、上焦の風熱を去る。

人参・・・脾胃の補気を行う

防風・・・上焦の風邪を治す。頭目の中に滞る気を発散し、肺実を瀉し、経絡中の留濕を去る

甘草・・・脾胃を補い、諸薬を調和し、急迫を緩和する

生姜・・・脾胃を温め、気を発散させる

*老人性の高血圧に使用します。現在、認知症のせん妄や幻覚に抑肝散が使用されますが、本来はこちらの適応になります。脾胃の動きが悪く、上盛下虚の状態で、上焦に風熱が存在するものに使用します。

柏子養心丸

構成生薬:柏子仁、枸杞子、玄参、地黄、石菖根、麦門冬、茯苓、当帰、甘草

柏子仁・・・心神肝気を休め、腎の渇きを潤し、魂魄を安んじ、智志を益し、驚悸恍惚を治す

枸杞子・・・精を補い、肺を潤し、気を助け、筋骨を堅くし、虚労を補う

玄参・・・下焦の無根の相火逆上して、肺に巡るものに、これを下ろし、これを冷やす

地黄・・・血を補い、血熱を冷ます

石菖根・・・耳目を明らかにして、心竅を開き、声音を出し、腸胃を暖める。男子の水蔵、女子の血海、衰冷を暖める

麦門冬・・・肺の陰を補う事で、心肺の熱燥を去る

茯苓・・・体内の水を巡らせ、利水する

当帰・・・血を温め心血を養う

甘草・・・脾胃を補い、諸薬を調和し、急迫を緩和する

*腎虚により相火が生じ、心肺にまで熱邪が上がり心肺に熱燥を生じ、神経不安を生じたものに使用します。

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ムセキ
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