ポイント
この記事では、小半夏加茯苓湯についての次の事が解ります。
・患者さんへの説明方法、副作用や注意点
・出典(条文)、生薬構成
・詳しい解説、他処方との鑑別
「名古屋漢方.com」のムセキです。
本記事は、小半夏加茯苓湯の解説記事になります。
最初に患者さんへの説明例、その後に詳しい処方解説を載せています。日々の業務で使う資料としてご活用頂ければ幸いです。
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<急ぎの方用>患者さんお客さんへの説明
一般、漢方医処方共通の説明
今回は小半夏加茯苓湯という漢方薬が出ています。
妊娠によるつわり、その他吐き気等によく使われるお薬です。胃を温めて、動きをよくする薬です。
先生から、飲み方等聞かれておりますでしょうか(妊婦の場合は、気を下げ過ぎると流産の危険がありますので、適時や調節しての服用が望ましい)。
水を多くとりますと効果が落ちますので、水分補給は控えめの方が良いでしょう。
身体が冷えてきた、湿疹が出た、胃腸が気持ち悪い等の症状があればご一報頂ければと思います。
一日〇回△日出ておりますので、指示通りお飲みください。
主な注意点、副作用等
アナフィラキシー
冷え(裏寒)
食欲不振、胃部不快感
流産
添付文書(ツムラ21番)
小半夏加茯苓湯についての漢方医学的説明
生薬構成
半夏6、茯苓5、生姜1.5
出典
金匱要略
条文(書き下し)
「にわかに嘔吐、心下痞し、隔間に水有り、眩悸す。」
「まず渇し、後に嘔す。」
条文(現代語訳)
「突然、嘔吐し、みぞおちがつかえるのは、胸隔に水がある為で、眩暈と動悸があります。」
「まず喉が渇いて、後に嘔吐します。」
解説
小半夏加茯苓湯は、処々の吐き気を解除する処方で、特に妊娠初期のつわりによく使われる処方です。
半夏、茯苓、生姜の3つの生薬だけですので、一見簡単に使えるように思います。しかし、実は慎重に用いるべき処方と言えます。
小半夏加茯苓湯は、条文と生薬構成両面から考えますと、明らかに瀉剤です。気の流れは最終的に茯苓での水の処理により、一旦上げて、その後に下がります。
気を下げるという事が最大の問題点で、患者さんの状態が悪いと、そのまま胎児が下ります。
ですので、妊婦の場合は、出来るだけ頓用か、少量から開始する事をお薦めします。
鑑別
小半夏加茯苓湯と他の処方との鑑別ですが、実は、同じような妊娠初期のつわりに有効な乾姜人参半夏丸という処方があります。
乾姜人参半夏丸との鑑別
小半夏加茯苓湯と乾姜人参半夏丸との鑑別ですが、その差は冷えと脾虚の程度となります。
現代人は、脾虚になり、身体が冷えている事が多いので、その辺りを考える必要があります。
身体ががっしりしていて、普段は食欲があるという方の場合は小半夏加茯苓湯で、そうでなければ乾姜人参半夏丸という感じで大丈夫です。
一般的には、乾姜人参半夏丸の方が合う方が多いので、選べるのであれば、私は乾姜人参半夏丸をお薦めします。
乾姜人参半夏丸の場合は丸剤であり、小半夏加茯苓湯より長服させやすいという点もポイントになります。
お読み頂きありがとうございます。
以上です。少しでも参考になれば幸いです。以下より、他の漢方記事が検索できますので、宜しければご活用下さい。
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