こんにちは、「名古屋漢方.com」のムセキですm(_ _)m
今回の記事は、漢方薬の副作用について書いていこうと思います。
昔に比べて、「漢方薬が安全」と思われる事は少なくなりましたが、「具体的にどういう副作用があるのか?」という事はあまり知られていないように思います(ちなみに、漢方医学には副作用という概念は無く、「誤治」と言って治療の失敗に分類されます)。
そこまで危ない副作用って無いんですよね?
副作用とか言われたら、漢方が飲めないです。
漢方は安全だからって簡単に飲むものでも無いですし、逆に治療で漢方を飲んだ方が良い場合も沢山あります。
結局の所、医師、薬剤師、登録販売者等の資格を持っていて、漢方を深く勉強している治療家に選んで貰うのが良いと思います。
ご紹介する副作用は、知られているものもあれば知られていないもの、懸念されるものも含まれています。
よろしくお願いしますm(_ _)m
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過敏症
過敏症は、副作用の中でも危なく、すぐに対処する必要があるものです。
よく「アナフィラキシーショック」と呼ばれ、たまにニュースになったりします。
多いのは蜂に刺された、等ですが、漢方に限らず、薬ならどれでもこの過敏症を起こす可能性があります。
症状は、呼吸困難、意識消失、全身の発疹、血圧低下などで、命の危険があります。こういう症状が出たら、すぐに病院に受診する必要があります。
薬を飲む時に口に含んだだけで、粘膜がカブレる等の症状が出る事も多いので、そういう場合でもかかりつけの病院に受診された方が良いです。
偽アルドステロン症
偽アルドステロン症は、甘草という生薬が原因で起こる副作用になります。
例えば、漢方薬を色々な病院や薬局で貰っている場合に起こりやすくなります。
甘草を多く飲めば偽アルドステロン症になると思われると思いますが、発症するかどうかは人それぞれで、出やすい方は本当に一種類の漢方薬でも出る事があり、出にくい方はどれだけ飲んでも出ない傾向にあります。
浮腫や血圧上昇が症状として出ますが、その他に血液の電解質バランスの異常が出てきます。
こういう症状が出たら、病院か薬局にすぐ連絡し、場合によっては受診して頂く事も必要となってきます。
間質性肺炎
この間質性肺炎という副作用は、漢方薬だけでなく色々な薬で起こる事が知られています。
漢方薬でも起こるという事は、肝炎の治療薬として小柴胡湯が使われ、その副作用として間質性肺炎が報告されてニュースになり、有名になりました。
西洋医学的には原因不明、若しくはオウゴンという生薬によるものと考えられています。
漢方医学的には、肺が冷えて乾く事で引き起こされると考えられています。乾いた咳や呼吸困難、発熱等が続くようであれば病院受診をお勧めします。
腸間膜静脈硬化症
近年、報告されてきた副作用です。山梔子(クチナシの実)が入っている漢方薬を長年飲んでいる場合に、この副作用が出ているようです。
右側腹痛、悪心、嘔吐、下痢、便潜血等が症状です。
通常の使い方では、山梔子等を含む瀉剤と呼ばれる毒取りの漢方薬を長期間飲むことはあまりしないので、副作用というよりは薬害としての側面が強いと私は考えています。
高血圧
上の偽アルドステロン症の所でも高血圧の症状が出てきましたが、ここで書かせて頂くのは麻黄が入っている漢方薬による副作用です。
葛根湯、麻黄湯という有名な漢方薬にも麻黄という生薬が入っていますが、この生薬は「エフェドリン」という成分を含んでいます。
この「エフェドリン」は、血圧を上げる作用があり、高血圧や排尿障害等お持ちの方には注意が必要です。
しかし、葛根湯や麻黄湯は人気がある漢方薬で、特に高齢者の方が、病院等で医師にリクエストして出してもらうケースが多いです。
私も循環器の医師から処方が出ていて、問い合わせた所「問題ないからそのまま出すように。」とのことでした。
病院からも、高血圧や排尿の事を気にせず出される事が多く、今はニュースにはなっていませんがそのうち大きな問題になりそうな予感がしています。
血圧低下
今度は、上の見出しの高血圧の反対で、血圧低下です。副作用と言って良いか解りませんが、ご紹介します。
防風通聖散という漢方薬を私が飲んでいて起こったのですが、通常時よりも飲んでいる時には血圧が20~30平均して下がっていました。
大した事無いかもしれませんが、こういった事も起こり得るという事を知っておいて欲しいです。
胃腸障害
地黄という油が大量に含まれている生薬が入っている漢方薬で起こりやすい事が有名ですが、その他にも麻黄や芍薬、当帰、桂枝などの生薬でも胃腸障害が起こる事があります。
ですので、食欲や体格から漢方薬を選び出す事は結構重要だと思っています。
近年のEBM漢方と呼ばれる使い方(西洋医学的な実験データに基づいた使い方)では、その事が軽視されがちなので、その辺りは心配しています(芍薬甘草湯、苓桂朮甘湯等の長期処方等)。
下痢
漢方薬の中に、大黄や芒硝、当帰、地黄等の生薬が入っている場合や、身体内部が漢方薬で冷えた場合(後述の「裏寒」という状態)、下痢を起こす事があります。
漢方医学では、身体内部に存在する熱や毒を、下剤を使って便として出す治療法が存在します。
使えるタイミングや量がシビアなので、失敗すると下痢になって身体が冷えたり、胃腸を壊してしまいます。
便秘(痔)
前述の下痢とは反対に、便秘を起こす事があります。
私の誤治例です。補中益気湯という漢方薬があり、それが合う人に薦めたのですが、飲む量を伝え忘れた為、一般的な1日3回という飲み方で飲んでしまい、それが原因で薬が効きすぎて便秘になり、切れ痔になってしまいました。
この類の副作用は、補気剤、温裏剤等の身体を温めたり元気にしたりする漢方薬で起こる事が多いです。
冷え(裏寒)
知られていない為に漢方薬、特に瀉剤と呼ばれる毒取り熱取りの薬が多用されて、知らずのうちに身体を冷やして体調を悪い方向に追いやっている事がよくあります(裏寒といいます)。
これを治療するには、温裏剤という系統の漢方薬を使うか、身体を芯から温める必要があります。詳しくは↓の記事をご覧ください。
続きを見るその体調不良は「裏寒」が原因かも?対処法をお伝えします!!
お読み頂きありがとうございます。
以上です。少しでも参考になれば幸いです。以下より、他の漢方記事が検索できますので、宜しければご活用下さい。
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