ポイント
この記事では、十味敗毒湯についての次の事が解ります。
・患者さんへの説明方法、副作用や注意点
・出典(条文)、生薬構成
・詳しい解説、他処方との鑑別
「名古屋漢方.com」のムセキです。
本記事は、十味敗毒湯の解説記事になります。
最初に患者さんへの説明例、その後に詳しい処方解説を載せています。
日々の業務で使う資料としてご活用頂ければ幸いです。
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<急ぎの方用>患者さんお客さんへの説明
メイン
一般的なもの(皮膚病等)
今日のお薬は、十味敗毒湯と言います。
湿疹やでき物、腫れ物等の皮膚病に用いられる薬で、日本の江戸時代の漢方医が作った処方です。蕁麻疹なんかにも使います。
漢方をされる皮膚科さんでよく使われるイメージの薬です。一日〇回△日出ておりますので、指示通り飲んでください。
漢方医処方、漢方薬局等での説明
今日のお薬は十味敗毒湯と言います。
一般的には、皮膚病や、蕁麻疹等に幅広く効くお薬で、江戸時代の医師が作った薬として有名です。
処方内容を見てみますと、膿出しと表面の痒みを抑える生薬が組み合わされています。ですので、胃腸が弱くない方の毒出しの漢方薬として、幅広い病気に使える薬と言えます。
今日は、〇〇に対しての薬として先生は出されています。
主な注意点、副作用等
アナフィラキシー
偽アルドステロン症
胃腸障害
冷え(裏寒)
添付文書(ツムラ6番)
十味敗毒湯についての漢方医学的説明
生薬構成
桔梗3、柴胡3、川芎3、茯苓3、樸樕3、独活1.5、防風1.5、甘草1、荊芥1、生姜1
出典
華岡青洲経験方ですが、「和剤局方」の「荊防排毒散」を改良したものです。
条文(書き下し)
「癰疽(ようそ)及び、諸般の瘡(そう)、腫起(しゅき)、憎寒壮熱、焮痛(きんつう)するを治す。」
条文(現代語訳)
「化膿性皮膚疾患及び、諸般のできもの、腫脹し、発熱悪寒があり、灼熱痛のものを治します。」
解説
十味敗毒湯は、「桔梗」の排膿効果と、「独活、防風、荊芥」の袪風、「柴胡」の中和を元に、血を走らせる「川芎」、駆瘀血・解毒の「樸樕」、回水の「茯苓」、身体を温めて湿邪を除く「生姜」、諸薬をまとめる「甘草」が配合されています。
基本的には、「川芎、茯苓、生姜、甘草」は、補助になりますので、主な効能としては排膿と袪風の効がある柴胡剤になります。
身体はがっしりとし、冷えが無く、広範囲で化膿性皮膚疾患があり、痒みが出ている方にお勧めの処方となります。
この処方を使用する場合は、配合生薬に脾胃剤や温裏剤等が殆ど含まれていない為、脾虚や裏寒の患者には不適な処方となります。
また、柴胡剤の一種という認識を忘れてはいけない処方となります。
医師の処方が出ている場合は、虚状が甚だしい場合は問い合わせ、そこまで酷く無ければ足湯やレッグウォーマー等で身体が冷え込まないようフォローする事が必要となります。
鑑別
十味敗毒湯は瀉剤のグループになりますので、乙字湯や五淋散、疎経活血湯、竜胆瀉肝湯や荊芥連翹湯、紫根牡蛎湯等と処方鑑別されます。
また、十味敗毒湯の虚の方剤は、排膿散及湯、桔梗湯等です。十味敗毒湯は、竜胆瀉肝湯や荊芥連翹湯よりは虚の方剤になります。
続きを見る【漢方:3番】乙字湯(おつじとう)の効果や副作用の解りやすい説明
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