ポイント
この記事では、安中散についての次の事が解ります。
・患者さんへの説明方法、副作用や注意点
・出典(条文)、生薬構成
・詳しい解説、他処方との鑑別
「名古屋漢方.com」のムセキです。
本記事は、安中散の解説記事になります。
最初に患者さんへの説明例、その後に詳しい処方解説を載せています。日々の業務で使う資料としてご活用頂ければ幸いです。
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<急ぎの方用>患者さんお客さんへの説明
メイン
消化剤として出ている場合
今日は、安中散という漢方が出ています。
よく年末にテレビのCMでよく流れる大〇漢方胃腸薬にも入っていますので、一般的にもよく使われる漢方薬です。
胃腸の調子が元々弱っている方で、食べ過ぎているような時にピッタリです。
胃腸の調子が良くない場合に消化剤として有名です。一日〇回△日分出ておりますので、お飲みください。
応用的な使い方の場合(口の周りの荒れ、胃腸の調子の悪い方の駆お血剤、病後回復)
今日は、安中散という漢方が出ています。一般的には消化剤として有名な薬です。胃腸の調子が元々弱っている方で、食べ過ぎているような時にピッタリです。
他にも、口の周りが荒れていたり、病後回復にも使います。胃腸の調子の悪いけど血の流れが悪い方にも良いです。
今日は〇〇(患者主訴)に対しての薬として出ていますね。一日〇回△日分出ておりますので、お飲みください。
主な注意点、副作用等
アナフィラキシー
偽アルドステロン症
冷え(裏寒)
添付文書(ツムラ5番)
安中散についての漢方医学的説明
生薬構成
桂皮4、延胡索3、牡蠣3、茴香1.5、甘草1、縮砂1、良姜0.5
出典
和剤局方
条文(書き下し)
「遠年近日の脾疼翻胃(ひとうほんい)にて、口に酸水を吐し、寒邪の気が内に留滞し、停積消えず、胸隔膈脹満、腹脇を攻刺し、悪心嘔逆、面黄肌痩、四肢倦怠するを治す。又婦人血気刺痛、小腹より腰に連り、攻疰重痛するを治す、並に能く之を治す。」
条文(現代語訳)
「長年、胃腸の痛みがあり食べたものを戻しやすい状態で、口から酸水を吐き、寒邪の気が内に留滞して、未消化物が消えず、胸郭がいっぱいになり苦しく、腹の脇に差し込み通があり、悪心嘔逆して、顔が黄色く肌が痩せ、四肢倦怠するものを治します。又、女性の血気刺痛が、小腹より腰に連なり、重痛いものに対し、能く之を治します。」
解説
通常、脾胃剤は桂枝が入らない事が多いのですが、本方剤は、桂枝が配合されている処方となります。
ですので、表虚の存在がある為に逆上せ症状(頬が桜色)が出てきます。また、延胡索が入る為、軽い駆瘀血剤としても使用する事が出来ます。
女性の食べ過ぎで口の周りが赤く荒れている場合によく使われます。その他にも、手術後の体力回復等にも使われる事があります。
ポイントは桂枝配合処方ですので、患者さんの顔に「赤みがある」という所、延胡索が入りますので瘀血所見があるという所です。
逆上せがあり、口の周りが荒れ、食べ過ぎ傾向の場合にはファーストチョイスを考えても良い処方です。
鑑別
安中散は、他の方剤と違い、数少ない「脾胃剤に桂枝が含まれている処方」です。
他の処方は、経枝人参湯位でしょうか。あの薬は表熱裏寒の薬ですので、身体内部の冷えが目標になります。
補中益気湯は、方剤中に柴胡が含まれていて桂枝は含まれておりませんので、逆上せが無くもっと目線がキツい神経質な方に適応します。
逆に、瘀血を目標とする場合、肉付きが良い方の場合は芎帰調血飲等が適応となります。
六君子湯は、逆上せが無く食欲が無い事が目標となります。
清暑益気湯は、顔の中心部が赤く(安中散は中心部は赤くありません)、喉が渇き唇の粘膜も乾き、夏の暑さによる胃腸疲れがメインとなります。
その辺りで使い分けを考えると、各方剤の使用目標がはっきりとしてきます。
お読み頂きありがとうございます。
以上です。少しでも参考になれば幸いです。以下より、他の漢方記事が検索できますので、宜しければご活用下さい。
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