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漢方って難しいな。よく解らない。
という疑問に対し、「なるほど!」と言って頂けるように説明していきます。
「名古屋漢方」のムセキです。漢方を専門に勉強し始めてから10年以上が経ちました。
まだまだ漢方の登竜門を潜ったばかりですが、その拙い経験から、漢方医学の特徴についてお話してきます。
難しいとされている漢方ですが、ある程度理解すると、逆に凄く簡単かつシンプルに説明出来てしまったりします。そんなに難しく考える必要はありません。
漢方の全体像をサクッと掴んで頂いて、「楽しいな!」と思って頂ければ嬉しいです。それでは、宜しくお願い致します。
本記事では、以下の事が解ります。
ポイント
・金元医学の輸入→「漢方」という名前になった理由
・江戸時代の漢方の変遷と明治時代の弾圧、昭和の漢方復興
・漢方医学の考え方
・まとめ
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意外!「漢方」という名前は江戸時代になってから
まず、「漢方という名前はいつ名付けられた?」という事を考えてみます。
現代に続く、中国から体系化された医学が本格的に輸入されたのは、安土桃山時代になります。
この時に輸入されたのは、「後世方(ごせいほう)」と呼ばれる陰陽五行説を駆使して病気を治していく金元医学(きんげんいがく)というものになります。
それまでは傷寒論(しょうかんろん)・金匱要略(きんきようりゃく)や、日本独自の民間療法、仏教医学等が入り混じって医学というものが行われていましたが、後世方の輸入により、日本の医療が後世方中心となっていきました。
この安土桃山時代に新しく輸入された新しい中国の医学は、丁度その頃に日本に現れたオランダ人によってもたらされた西洋医学と対比されるようになり、江戸時代において西洋医学を蘭方(らんぽう)と指すことに対して、漢方と呼ぶようになりました。
後世方から古方、漢方弾圧の歴史から復興まで
最初は、後世方と呼ばれる金元医学(黄帝内経、気血水理論、五行説を理論の軸に置いたもの)を中心とした医学が使用され、その後、江戸中期より古方(傷寒論、金匱要略)を中心とした医学が広まりました。
後世方は理論重視、古方は結果重視になります。江戸時代後期に流行った古方は、その後の西洋医学台頭の心理的基盤となります。
明治になると西洋医学が政府で本格的に採用となり、漢方医学は弾圧されてその火は消えようとしていました(漢方が「何故効くか?」という問いに答えられなかった為)。
しかし、志のある医師、薬剤師、鍼灸師によりその命脈を保ってきました。
昭和になると、生活習慣の変化に伴い西洋医学だけでは対応できない病気が増え、また、漢方復興運動もあり、その勢いを取り戻して現在に至ります。
最近は、金元医学から更に中国本土で歴史の変遷を経た「中医学」という医学体系が日本に広まっています。
逆に漢方医学に関してはその担い手が減少傾向にあり、次世代への漢方知識の引継ぎが課題として浮かび上がってきました。
漢方医学は現代科学的にもあながち間違いではない
漢方医学の理論の大元は、気一元論「万物は気で出来ている」というものになります。気体液体固体問わず、気というエネルギーがそれらを作り上げていると考えます。
これは、現代科学で否定されているという訳ではなく、原子構造が原子核と電子で成り立っている通りに「確かなもの」であると言えます。
原子構造は原子核が+に帯電し、電子がーに帯電しておりますので、これは陰陽理論そのものになります。
それら万物である宇宙、自然は気で出来て循環していますが、それらを五感で捉え、似たような働きから人体の動きにあてはめたものが漢方医学になります。
逆に言いますと、人体の正常な循環(新陳代謝)をいかにして回復するか、という事が漢方の目的になります。
つまり、漢方医学は、「(肉体とその動作、精神全てを考える)エネルギー医学」であり、主に物理学を基礎に置いた医学であるといえます。
エネルギー医学ですので、基本的には身体を流体として考えます。気血水全てが流体となります。
また、その奥には哲学、宗教学、音楽、文化、言語学等も隠れており、それらが渾然一体となり漢方医学を形作っているといえます。
これを押さえれば大丈夫!漢方の2つのポイント
まとめますと、漢方医学は「古代中国で発生して体系化された医学が、主に安土桃山時代末期に日本に伝わり、独自に発展した医学」と言えます。
また、「自然現象を細かく観察し、そこから得られた知見や人体との共通部分を抜き出し、「気」を定義する事でそれらを体系化してあてはめた、物理学に基礎を置くエネルギー医学である。」と考える事が出来ます。
これら2つのポイントが、漢方医学の基礎になります。何処まで行っても、迷った時にここに立ち返って頂ければ、漢方で迷う事は無いと思います。
如何でしたでしょうか。少しでも漢方医学について興味を持って頂けたのであれば幸いです。
お読み頂きありがとうございます。
以上です。少しでも参考になれば幸いです。以下より、他の漢方記事が検索できますので、宜しければご活用下さい。
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