こんにちは。「名古屋漢方」ブログのムセキです。
本記事は、海人草(カイニンソウ)についての解説記事になります。日本薬局方収載の生薬のうち、日本で使われている漢方処方に配されているものを抜粋しています。
名前(日本名、ラテン名、英名)と写真、基原、製法、成分、性味・帰経、本草書(昔の薬草辞典)の記載、注意、私の考察(私見)、代表処方中の役割をご紹介します。日々の業務で使う資料として、ご活用頂ければ幸いです。
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生薬名
日本語名
海人草(カイニンソウ)
ラテン語名
DIGENEA
英名
Digenea
写真
基原
フジマツモ科(Rhodomelaceae)のマクリ(Digenea simplex C. Agardh)の全藻部
製法
フジマツモ科(Rhodomelaceae)のマクリ(Digenea simplex C. Agardh)の全藻部を採取し、乾燥し製する。
成分
アミノ酸類(α-カイニン酸, α-アロカイニン酸、アルギニン、アスパラギン酸、グリシン、グルタミン酸)
性味・帰経
性味
味:不明
性:不明
※私の推測では、効能から味は鹹(かん)、性は寒であると考えています。
帰経
帰経:不明
本草書の記載
注意
海人草は虫下しであるが故に、気虚や裏寒等の虚状が酷いものには不適と考えられます。
考察
海人草は「マクリ」とも呼ばれ、海藻の一種となります。中国に文献が存在しない所から、恐らく漢方由来ではなく本邦独自の和薬であろうと考えられます。
その成分である「カイニン酸」、駆虫薬としての効があり、古来、駆虫薬として使用されてきました。
現在では寄生虫に感染されている方は殆どおられない為、知識として知っておく程度で、実際に使用されることも無いかもしれません。
また、昔は乳児の胎毒下しとしても用いられていたようです。
和薬であるが故、性味や帰経は不明ですが、効能や生育地域(海底)より、性は寒、味は鹹、帰経は胃・大腸と考えています。
寒という理由ですが、「下す」生薬であるからで、味は海藻であるから、です。また、胃腸内部の寄生虫に効があることから、胃と大腸に帰経すると考えました。
代表処方
鷓鴣菜湯
鷓鴣菜湯(しゃこさいとう)は、撮要方函(さつようほうかん)という日本の処方書が原典の、薬局製剤にある処方の一つです。
回虫駆除の薬で、海人草と大黄と甘草のみで構成される処方となります。現代日本では、回虫はめったに見られないので、鷓鴣菜湯を使う事はまず無いと思います。
知識として知っておくと良いでしょう。
最後に
以上です。少しでも参考になれば幸いです。以下より、他の漢方記事が検索できますので、宜しければご活用下さい。
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